この連載について
下馬評を覆しての「トランプ圧勝」。トランプ大統領の誕生は、世界の大きなターニングポイントになる。トランプ後の世界はどんな世界になるのか。経済・日米関係、米中関係、米ロ関係などの切り口から将来を展望する。
この連載の記事一覧

【ファーガソン】トランプは「現代のルーズベルト」になれるのか
NewsPicks編集部 58Picks

【ファーガソン】米ロ中の新たな世界秩序が生まれる日
NewsPicks編集部 57Picks

【ファーガソン】「復讐の時」を迎えた中国を刺激するな
NewsPicks編集部 102Picks

【ファーガソン】トランプが「第3次世界大戦」を招くことはない
NewsPicks編集部 135Picks

【フランシス・フクヤマ】米国の根深い「二極化」という持病
NewsPicks編集部 104Picks

【フランシス・フクヤマ】日米同盟は実質的に不安定化している
NewsPicks編集部 119Picks

【フランシス・フクヤマ】トランプ現象を招いた「政治の衰退」
NewsPicks編集部 205Picks

ヒラリーの黒歴史。白人エリートにさえ嫌われた必然
NewsPicks編集部 423Picks
スタンフォードの世界的知性が語る「トランプ後の世界」
NewsPicks編集部 877Picks

トランプ勝利の立役者? フェイスブックの罪と罰
NewsPicks編集部 97Picks
多くの鋭い指摘がありますが、とくに下記の言葉は重いです。
「私個人としては、ベルリンの壁の崩壊より、9・11のテロより、今回のショックの方が大きい。米国の価値体系が根本から揺らぐのではないか、という不安にかられる。米国を米国たらしめていた価値体系だ」
トランプ政権誕生は、米国の「国のかたち」、世界秩序、日米関係など多くの点で、ターニングポイントになりそうです。
トランプ特集の第2弾として、近日中に、『歴史の終わり』の著者、フランシス・フクヤマ氏などのインタビューを掲載する予定です。
シリコンバレーのIT長者やウォール街の金融エリート達が見落としていた点はまさにこれでしょうね。
トランプ候補の勝利がアメリカ主導の戦後秩序の終わりと断言するのはまだ早すぎると思いますが、まさに、この一点だけは真実だと思います。
まず別記事でもコメントしたように、地政学の観点から、沖縄から撤退することはないと思います。
https://newspicks.com/news/1890593/
次にグローバル化が進むという点も「国家」というものがより意識される気がしています。グローバル化というのは「無国籍化」であり、これが産み出したのかタックスヘイブンを利用したアングラマネーや、ボーダレス化による難民問題、文化の破壊だからです。よって、グローバルではなく、国家を中心にした「インターナショナル」の方向に進むのでは、と。
勿論、知的労働だけが尊敬されるというカルチャーで3億のコミュニティを納得させるのは無理という問題は重たいですが、その「ヒトの感情」という話と、それでも走っていくテクノロジー、既に完成してしまった国際金融・信用・物流システムという現実の折り合いについては、早晩、もっと精度の高いシステムを構築していかなくてはならないんですね。
人種の問題も結局は白人比率が下がる中で、多様性と共存のシステムを推し進めるという流れは変わらないでしょう。ただ、ポリコレの権力化への被害感蔓延という現象に関しては、もう少し上手くやらないといけないし、そんな方向へ知恵を積みげていく世代も出てくるんじゃないでしょうか。
そう考えると、やっぱりアメリカから「何か新しいもの」が出て来るという可能性は、依然として否定できないんじゃないかと思います。中ロの開発独裁が、それを上回る統治と経済モデルの知恵を出してくるというのは、ちょっと考えにくいです。
1989年年にベルリンの壁が崩れて東西冷戦が終結し、経済の世界で人、物、金が国境を越えて活動するグローバル化が始まった。パワーの世界では、ソ連の崩壊で生まれた旧ソ連圏の力の空白を欧米が埋め、ロシアの喉元までNATOの勢力圏が拡がった。自由、平等、人権、市場経済といった価値観が世界を支配するパックスアメリカーナの時代です。
パックスアメリカーナの時代、グローバル化は経済の世界で(グローバル化を推進する)エリート層と新興国の国民に豊かさをもたらしたが、先進国の既存の中間層以下には打撃になった。経済的格差の広がりが欧米先進国の政治を動かす力を「ポリティカリー・コレクト」から不満と怒りに代え、内向きになった欧米の政治はウクライナをはじめとする旧ソ連圏と中東で力の空白を生みだした。ロシアがウクライナ侵攻やアサド政権を巡る紛争でパックスアメリカーナに挑み始め、グローバル化の恩恵で豊かになった中国は南シナ海の力の空白を狙う。米国がグアムに撤退すれば、日本の周辺にも力の空白が生まれてしまう。
パックスアメリカーナを支えた経済と政治を動かす力の変化を背景に生まれたトランプ大統領。グローバル化の恩恵は先進国の中間層にもそれなりに及んでいるはずですが、格差が拡がり豊かさで移民に抜かれる状況でそれを感じることは難しい。さて、世界はどこに向かうのか・・・といった構図を感じます。
だが、このプロセスは簡単ではない。なぜなら、「論理実証モード」が事実Factを分析する時、「物語編集モード」は真実Truthを語るからだ。事実は1つに収斂(事実か事実でないか、のいずれか)する。しかし真実は常に多面的で多層的だ。いま、アングロサクソン国家の英米が、進めてきたグローバリゼーションの負の真実が、マグマのように噴出している。そのプロセスでなされた多くの「嘘の言説=事実に反すること」を、どう考えたらよいか。それを「ポピュリズム」という単語で片付けることは問題解決を遠ざける。「真実の多層」を深く掘り、そこに見えてくる「事実」をあぶりだす。そしてもう一度、「論理実証モード」と「物語編集モード」の両歯車を嚙合わせる。そこから生まれる物語を、しっかり編集していく必要がある。これはすべての人の責務となるだろう。僕もできるところから始めたい。
一方で、ヒスパニック系が全人口の22.5%(2010年)、アフリカ系が16%を占めるフロリダ州でヒラリーがなぜ負けたのかを考えると、概ね次のような理由になるのではないかと推測する。すなわち、白人の多くに加えてヒスパニック系の多くがトランプに投票したというものである。
ヒスパニック系はマイノリティではあるが、宗教的にはカトリックであり、妊娠中絶や同性婚に比較的批判的である。したがって、妊娠中絶や同性婚に比較的肯定的なクリントン氏に投票することは難しかったのではないだろうか?そういえば選挙後に聞いた話で、「トランプに投票することは"wouldn't"(したくない)であるが、クリントンに投票することは"couldn't"(できない)である」という話を聞いたが、これはフロリダにもよく当てはまりそうである。
また、ヒスパニック系にとっては「トランプ大統領候補に投票した」というよりも、「保守強硬派であるペンス副大統領候補に投票した」という意識が強いのかもしれない。おそらくこのことはフロリダ州のヒスパニック系に限らず、他州、特に南部諸州の保守的な有権者に通じることではないだろうかと推測する。