大多数の人は国家なんかどうでもいいと思っている

2016/11/19

徴兵制と国民国家はセット

──出井さんはナショナリズムのこれからをどう思いますか。
出井 昔にさかのぼって考えると、15世紀ぐらいにイタリアのフィレンツェなどの都市国家が栄えていましたが、これら都市国家がなぜフランスに負けたかというと、フランスは農民を抱え込んでフランスという国をつくって戦争したからです。
その状態が16世紀ごろからずっと続いて、産業革命の時代になると、それがさらに強調されて、国家というものは戦争のための仕切りになったということでしょう。
堀江 まさに現代以前の、たとえば都市国家だったり王侯貴族が支配していたフランス革命以前のヨーロッパ、まあ世界もそうですけど、封建主義だった時代というのは、基本的に兵隊は傭兵だったわけです。
傭兵は要は商売でやっているので、一応、戦うふりはするんですけど、本気では戦わないわけですよ。
だけどフランス革命が起きちゃいました。王様と貴族が追い出されてしまいました。兵隊もみんないなくなりました。
そしたらプロイセンやイギリス、スペインとかが攻めてくる。ヤバい、ヤバい、どうすんべってなって、いや、俺たちで守るしかないっしょってことで徴兵制が始まった。
徴兵制を始めるにあたってフィクションができたわけです。俺たちの国は俺たちが守らなきゃいけないんだっていうフィクション、国民国家というフィクションができて、徴兵制が始まった。
だから徴兵制と国民国家はセットなんです。