【大山敬義】M&Aは「戦い」でもあり「結婚」でもある
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注目のコメント
大山常務のご説明の通り、クライアントに代わって連立方程式を解くことには付加価値があって、そのマーケットを見つけたのが日本M&Aセンターなのだと思います。
最近、資本市場において、中小企業のM&A仲介に似た構図の取引を見つけました。それはマザーズなどの新興市場におけるIPOの引受けです。野村証券や大和証券などの引受会社は売り手(発行体)と買い手(株式投資家)の事実上の双方代理をしており、かつ売り手(発行体)が必ずしもFinanciallyに洗練されていないという意味において、とても似ています。
引受会社は、売り手(発行体)のIPOに係るニーズや裏にある制約条件の連立方程式を解きほぐしながら取引を推進し、一方買い手(株式投資家)の目に止まるようなセールスポイントを考えたり経営者に振り付けをしたりします。IPOバリュエーションはここでも最大の交渉ポイントですが、引受会社が間に入って一応の価格算定機能を果たしながら、売り手(発行体)と買い手(株式投資家)のどちらにも納得感のあるような落としどころを見つけます。
ちなみに、外資系PEファンドが大株主であるときのIPOや、海外でのIPOにおいては、発行体が独自にアドバイザーを起用し引受会社と交渉したりします。これはもちろん、IPOの引受にはM&Aの仲介と同様に、本質的な利益相反が内在しているからです
追記: 谷口先生のコメント、私も外資系証券会社にてキャピタルマーケッツ案件(株式と海外でのハイイールド債)を担当したことがありますので、理解致します。特に、シンジケート(会社によってはECM)やセールスの立場からは、ご指摘の通りです。英語の契約書名「Purchase Agreement」からも明らかです。
一方、オリジネーションや公開引受部は、実質論として途中まで上場準備アドバイザーという名目で発行体側で仕事をしていたり(上場準備アドバイザーは通常そのまま引受会社になる)、発行体側側に立ったかのようなピッチを行っています。証券会社としては、実質論として発行体と株式投資家との両者の利益を代弁するような相反する二つの立場を持っています。
こちらの実務の事情をご勘案の上で、谷口先生は「基本的に」と柔らかく表現されているのだと推察致しますので、あとは実質論をどう判断するかということではないかと思います先日ショブオファーと絡めて、初めてピッカーさんとお話しする機会を設けさせて頂きました。
正直初めての企画でありましたし、私自身もこうした場にはあまり慣れていないもので、きっと不行き届きの点がたくさんあったと思います。
にも関わらず、平日の夜という忙しい中、とても多くの方にご参加いただきました事を厚く御礼申し上げます。
本当はもっと沢山のご質問にも十分お答えしたかったのですが、私の準備不足と舌足らずもあり、必ずしも満足のいくご回答ができなかったかもしれません。
また機会を見て、こうした場を設けることができたらと考えております。
ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。(追記)売手の依頼を受けて買手を探す際に、買手にも手数料を要求し、手数料を支払わなければ情報提供しないと言われたとの相談がよくあります。売手の依頼を忠実に遂行するなら、買手が手数料を払わないなら候補から外すというのは、完全に忠実義務違反だと思います。このような仲介の進め方をしているところは、顧客よりも手数料収入を優先していることになり問題だと思います。
(原文)「日本M&Aセンターが手掛けるM&Aと佐山先生が携わってらっしゃるM&Aとは、中身がずいぶん違う」とのこと。確かにM&Aは「戦い」でも「結婚」でもあります。一度、大山さんともお話してみたいですね。