[東京 18日 ロイター] - 海外の娯楽大手が日本のカジノ運営解禁をにらんだ売り込みを加速させている。MGMリゾーツ・インターナショナルは、日本でカジノが解禁されれば、1万人超の雇用創出など経済効果をもたらすことができると強調し、ラスベガス・サンズ<LVS.N>は、カジノ解禁で中国の成長を取り込む好機にもなると、海外マネー呼び込みへの起爆剤になる可能性を指摘している。

市場規模は1.5兆円を上回り、世界第2のカジノ大国になるとの試算もあり、ビジネスチャンス獲得に向け、早くも思惑が渦巻いている。

娯楽大手の幹部が集まったのは、18日から19日まで都内で開催中のカンファレンス。会場には、投資銀行関係者のほか、電通<4324.T>やセガサミーホールディングス<6460.T>、富士通<6702.T>などの関係者も詰めかけた。

日本では現在、カジノ運営が法律で認められていない。だが、超党派の国会議員がカジノを適法化するための議員立法を検討中で、早ければ今年秋の臨時国会に法案が提出され、2年以内に「カジノ解禁法」が制定される可能性がある。

ただ、次期臨時国会では送配電の分離問題など積み残された重要法案も多く、目論見通りに進むのか、不透明な面もある。

18日の会議では、MGMリゾーツ・インターナショナル社長、ビル・ホーンバックレー氏が、日本でカジノ運営が解禁になり実際に運営会社として参画する場合は、国内のパートナーとの合弁に前向きな姿勢を示した。

カジノ候補地に名乗りを挙げる大都市の中では「現時点のプライオリティは東京または大阪」と述べた。日本国内では、沖縄、長崎など20カ所以上が候補地として前向きな姿勢を示している。

MGMは、カジノ設立によって開催地にもたらされる収益が、ゲーム関連分野から観光、その他のレジャーなど幅広い分野に広がるメリットがあると指摘した。

具体的にはラスベガスの例を挙げ、1979年にゲーム関連の収入が59%、非ゲームは41%だったが、2012年には非ゲームが64%に拡大。ゲーム以外の分野でビジネスチャンスが生まれ、日本でも同様の効果が期待できると話した。

カジノ運営に関連し、建設関連で1万人、フルタイム雇用を1万2000人分創出できるなどといった効果も訴えた。

米ラスベガスに本社のあるサンズ<LVS.N>のグループに属し、シンガポールでカジノ運営を手掛けるマリーナ・ベイ・サンズCEO、ジョージ・タナシェビッチ氏は、日本でのカジノ解禁の展望について「これまで厳しい道のりだったが、あともう少しだ」と期待を示した。

カジノが解禁されれば「中国の成長の一部を取り込むこともできる」と国外からの経済効果にも期待を示す。

米カジノ大手ウィン・リゾーツ<WYNN.O>COO、ガマル・アジズ氏は、日本でカジノ解禁に向けた法制化が難航した経緯を振り返り、「今回は本当に実現することを望んでいる」と述べたうえで、施設のデザインに関しては、将来も印象に残るような「象徴的な建築物にしたい」とした。

<日本、マカオに次ぐ市場に成長も>

娯楽業界に特化した投資銀行、ユニオン・ゲーミングは、カジノ解禁で日本ではゲーム関連収入が1.5兆円(150億ドル)以上見込め、マカオに次ぐ世界2位のカジノ市場になると予想している。

18日の会議に出席していた超党派の議連(「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」の岩屋毅・衆議員議員(自民)は、秋の臨時国会で法案提出のため準備を進めていると述べた。

また、将来的には政府内に推進本部を作る必要性や、内閣府の外局にカジノの管理委員会を作り、施行に向けたルールや運営に関わる監視・監督をするのが望ましいとの考えも示した。

(Reporting 江本 恵美、ネイサン・レイン 編集;田巻 一彦)