【若林秀樹】企業によって異なる"時間感覚”と"ボリューム感覚”
第一回: 経営を計測する、それが「経営重心」だ
筆者の若林です。経営重心を導入する前段階としてサイクルとボリューム。
サイクルは、企業の決断のスピードにも関連しますが、短いものと、長いものがあり、その事業をしているうちに、その組織も、それに慣れてきます。
速い方が常にいいわけではなく、速いと、それゆえに、ミスも多くなります。
しかし、拙速が重要な事業もあります。
要は事業次第で、それにふさわしいスピード感があると。
かつての総合電機は、半導体事業部は、そこそこ早くても、全体が重電文化で長く、最終判断に時間がかかり、3年のシリコンサイクルで、1年かかってました。サムスンなどは1か月以下。これが10年以上のサイクルの方には、じっくり正確に、という価値観なので理解できません。
マスメディアでも、毎日を追う新聞と、月刊誌の記者は、興味もスタイルも変わります。不確かでも速報が大事か、遅くても正確でしっかりした記事か。
社長の任期や決算期も、このサイクルに合わせるべきです。
ボリュームも同様です。ITのソリューションでも、昔のメインフレームの方は、受注金額を多くしたがり、機能を多くしがち。
生産ラインも、1個か、1万個かで変わってきます。
こうした議論は会計やガバナンスの話にもなります。
縦軸は、個数でなく、その逆数ともいえる単価も考えたのですが、単価という金額単位にすると需給の影響が大きく、数量にしました。
また桁をとることで、計算がし易くなります。
なお、YASUDAさんが、指摘されてますが、部品や材料の計算も含め、経営重心の対象です。ただ、セット品のジャパンストライクゾーンからは外れます。セット、部品、で、ストライクゾーンは違うという認識です。
部品も、コンデンサのような素材に近いレベルから、モジュール的なものまで色々ありますが、そういう違いもあり。国民性も流動性サイクルああり。
図表は新しくしましたが、過去の数字は、ケータイが多く、現状でも、10億台程度(半分)あり、そのままとしました。
なお、総合電機体制も垂直統合も変わってきましたが、新たなM&Aで別な総合化や、垂直化も、コングロマリット化も多く、そこでも有効だと思います。
<追記>占部さん有難うございます。御指摘の通り、定量化と、サイクルとボリュームでドメインを決めたことが鍵です。
Katoさん、「共振」全くその通りです、良い表現有難うございます。
tokiv氏にインスパイアされてのFYIコメント。
現在の日本の組織再編税制では、スピンオフ(※)は事業譲渡と同等とみなされます。すると、新会社が持つ資産の時価と簿価の差額について譲渡益が認識されます。分離元の企業には法人税(譲渡益に係る税金)がかかり、スピンオフ株主には配当課税がなされます。
(※)企業から特定事業を切り出して別の新会社を作り株主が当該新会社の株式を保有すること、又は、株主に別会社の株式を現物配当すること。
このスピンオフ時にアップフロントでときに膨大な税金が生じることが重大な障害となっていて、現実的には日本においてスピンオフの実施はほぼ不可能です。
この組織再編税制上の課題について、経産省が動いています。
経産省が去る8月末に提出した来年度2017年度の税制改正要望では、「スピンオフ時の課税の繰延に関する組織再編税制の改正」が含まれています。
企業の柔軟な組織再編が行いやすくするために、税制改正要望が通ると良いと思います。
【参考リンク】
http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2017/zeisei_r/index.html
スピンオフの課税繰延には、リンク先「平成29年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】(PDF形式:3,821KB)」ファイルの15ページ
こういう考え方自体は新しいものではなく、業界の「時計が違う」などの表現をされていたものです。それを減価償却期間などを使って定量化したのがこの理論の画期的なところと思います
一番典型では総合商社は基本は時計が長く、稟議プロセスも非常に長い
ITバブルの際には各社一斉にネット事業に入りましたがうまくいかなかったのも、この辺の時計が全く合わなかったというのが根本要因と思います
他には小売なども日々是決戦でやっているなかでは、基本的には総合商社とはあわないビジネスと思っています。例外はコンビニですが、あれは小売事業ではなくFC本部事業であり時計は長めのシステム物流産業であると理解すべきと思っています
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