[東京 3日 ロイター] - みずほフィナンシャル・グループ<8411.T>と第一生命保険<8750.T>の系列資産運用会社を統合し、10月1日に発足した「アセットマネジメントOne」は、パッシブ運用の投資先企業との対話(エンゲージメント)を900社程度で始める。

パッシブ運用は、個別株式を売却する選択肢がないが、対話を通じて企業価値の向上を図る必要があるとした。西恵正社長が、ロイターとのインタビューで明らかにした。

<預かり資産52兆円でアジア最大、将来的に100兆円目指す>

アセットマネジメントOneは、DIAMアセットマネジメントとみずほ投信投資顧問、新光投信の3社に、みずほ信託銀行の運用部門が統合して発足。預かり資産は約52兆円となり、アジア最大規模となる。

西社長は「将来的に預かり資産100兆円、営業収入1000億円を目指す」と語った。「世界の巨大な資産運用会社と競争するには、価格競争に耐えられる体力を持たなければ勝てない。グローバルには100兆円が1つのメルクマールだ」と説明した。

新会社は、個人向けと機関投資家などのホールセールの両分野を手掛けるが、西社長は「機関投資家向けビジネスで養ったソリューション提供のノウハウを個人分野に生かしていく」と、今後の狙いを語った。

<パッシブ運用の900社で対話>

新会社は、1100人でスタートするが、西社長は「人員のリストラは全く考えていない」とし、人員削減は行わず新規分野に振り向ける方針を示した。

統合前の会社では十分に人員が確保できなかったパッシブ運用でのエンゲージメントに力を注ぐほか、個人型確定拠出年金(DC)を推進する部署を立ち上げる。

900社程度で始めるパッシブ運用でのエンゲージメントについて、西社長は「パッシブは(個別企業の株式を)売却できないので、相手もプレッシャーを受けないという考え方もある。しかし、むしろ中長期の投資目的なのでエンゲージメント活動を通じて企業価値の向上につなげたい」と説明した。パッシブでのエンゲージメントは、みずほ信託では行っていたものの、3社では手掛けていなかった。

<2年半で筋肉質に、投信商品の整理も>

西社長は「統合後、2年半でいろいろな効率化を進めたい」とし、システム統合などを進め、筋肉質な体制を整える方針を示した。

500本を超える投信商品も選別を進め、集約させたい考えだ。「新規商品を作るよりも、顧客にソリューションを提供したいので(商品の)取捨選択を進めていく」とした。

みずほは、資産運用ビジネスを銀行、信託、証券に次ぐ第4の柱と位置付けているが、金融庁は顧客利益重視の立場から、運用会社の独立性も求めている。

西社長は「海外展開などの戦略面は、みずほや第一生命などの力をフルに使う。一方で、ガバナンスは完全に分断している」と説明した。

(布施太郎 編集:田巻一彦)