医師は患者の健康に影響を与える社会的な要因も診るべきだ マーモット世界医師会長語る
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マイケルマーモット氏の『ステータス症候群-社会格差という病』は、私の職業選択に結構影響を与えたような気がしています。
健康には、遺伝的因子や食生活などの生活習慣因子の他に、『働き方』や『社会的ステータス』、『コミュニティへの帰属意識』なども影響を及ぼす。
こういったコンセプトは今後広く知られることになり、ひいては自分自身の働き方を見直すきっかけにもなると思います。
AIの台頭で医師のアイデンティティの再構築が必要とされる中、このような研究をされていた方が世界医師会の会長になることは、『意外と医師会も未来を見据えてるな』と思いました。
日本の医師会は分かりませんが・・(笑)。貴重な警鐘だ。一読に値する。
これからの医療の役割、方向性はこれだろう。
私が英国滞在時(2005-08年)、英国では、「健康格差」(health inequality)が大きな関心の的だった。日本もきっとこの問題に直面するときが来ると思って、小著にも記した。そして、今や、日本でも、週刊東洋経済7月2日号で「健康格差」が特集する時代に入った。
この記事で、世界医師会長が言うように、
・日本は世界でもトップクラスの長寿国だが、注意するべきは、日本も他の国と同様、健康格差が存在し、その差が大きくなっている。日本は常に所得が比較的「平等」だった国で、所得で言えば、格差は非常に小さかった。しかし、それも真実とは言えなくなった。
・健康には、仕事への裁量が関係しているのではないか。要求度が高い仕事で、かつ自己裁量が低い仕事、つまり思い通りにならない仕事をしている人のストレスは、健康に影響を与えている。
これからの医療の役割は、闇雲に病気と戦い、倒すのではなく、「避けられる不条理な病気や健康格差と対峙する」ことに変わっていく。
日本は、比較的に、均質性を重んじる社会。だからこそ、世界の医療をリードする役割や立場を担って、この課題のイニシアチブを取っていくべきだ。最近アメリカ人とセーフティーネットの話をした。アメリカも日本もそれが最近は高すぎるから、躍動感に乏しく、成り上りパッションも少ないと。フリーエコノミーとセーフティネットのバランスはとにかく難しく、国の中長期の成長にダイレクトだ。一方でこのマーモットさんの話を聞いて感じるのは、医療におけるセーフティーネットは高ければ高いほどいい。他の網が地面すれすれに張られていたとしても、医療の網が高いところにあれば人は挑戦し続けられると。