[東京 20日 ロイター] - 国土交通省が20日発表した2016年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)によると、全国の住宅地・商業地を含む全用途平均が前年比0.6%の下落となり、7年連続でマイナス幅が縮小した。前年は同0.9%下落だった。商業地は前年比横ばいで、9年ぶりにマイナス圏を脱出。住宅地もマイナス幅の縮小が続いており、札幌・仙台・広島・福岡の「地方4市」がけん引するかたちで地価の回復が続いている。

用途別にみると、全国平均で前年比横ばいの商業地は、2007年調査(同1.0%上昇)以来、9年ぶりにマイナス圏から脱出した。前年は同0.5%の下落だった。東京、大阪、名古屋の3大都市圏は同2.9%上昇、前年の同2.3%上昇からプラス幅が拡大した。

地方4市は同6.7%上昇と前年の同3.8%上昇から伸び率が大きく拡大し、07年(同11.4%上昇)以来の高水準となった。地方圏全体では同1.1%下落と引き続きマイナス圏にあるが、マイナス幅の縮小傾向が続いている。

国土交通省では、外国人観光客の増加などで店舗やホテルの需要が高まっているほか、主要都市ではオフィス空室率の低下などで収益性が向上しており、商業地の不動産需要は旺盛としている。

住宅地は全国平均で同0.8%下落と引き続きマイナス圏にあるものの、7年連続でマイナス幅が縮小した。前年は同1.0%下落だった。3大都市圏は3年連続の上昇となったが、伸び率は同0.4%上昇と前年と同水準。このうち相対的に高めの伸びを続けていた名古屋圏は同0.5%上昇と、2年連続で伸びが鈍化した。

一方、地方圏は回復基調が継続。全体では同1.2%下落と引き続きマイナス圏にあるが、地方4市は同2.5%上昇と前年の同1.7%上昇からプラス幅が拡大。商業地とともに、地価のけん引役となっている。

基準地価は各都道府県が毎年7月1日における調査地点の価格を調査・公表し、国土交通省が全国状況を取りまとめている。今回の調査地点は2万1675地点。国交省が実施する地価公示(毎年1月1日時点の調査)と実質的に相互補完的な関係にある。

(伊藤純夫)