【独白】日本を買う米ネオ・ハゲタカ。「日本には、CFOがいない」

2016/9/26
2014年4月、日本の年金基金GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、新規運用委託先にアメリカの「物言うヘッジファンド」を選び、衝撃が走った。日本株専門に30社以上投資する、タイヨウ・パシフィック・パートナーズだ。年金が「お墨付き」を与えた“ネオ・ハゲタカ”の提案とあれば、日本企業も「聞く耳を持たない」わけにはいくまい。彼らは日本に何を求めているのか。そのトップを直撃した。

日本での「ハゲタカ」の振る舞い方

――GPIFに日本株の運用を委託されたのは、2年ほど前ですか?
そうですね。GPIFについてはセンシティブだから、何をやっているとか、どういうふうにやってるかについては、ノーコメントなんですけれど。
ただ唯一言えるのは、今や日本の年金基金が、うちのようなファンドを選んだということです。10年前に、うちみたいなファンドを選ぶことは、絶対に考えられませんでしたから。
――それはなぜですか?
いろんな理由があります。小さくて、しかも海外のヘッジファンド。それから我々は、物言う株主(アクティビスト)です。これは、絶対日本では受け入れてもらえなかった。
Brian K. Heywood(ブライアン・ヘイウッド)
タイヨウ・パシフィック・パートナーズCEO。1991年、米ハーバード大学卒業(東アジア研究専攻)。米J.D.パワー、英「ベルロン・インターナショナル」ディレクター、シティバンク・ジャパン副社長などを経て同ファンドを設立。
我々のことは、日本ではほとんど知られていませんが、それでも別にいいと思っているんです。というのは、企業に物を言う「アクティビスト・ヘッジファンド」には、日本ではあまりいいイメージがないでしょう?
――そうですね。「ハゲタカ」とのレッテルを貼られ、おこぼれを狙ったり、潰れかかった企業を買い漁ったり、というイメージがあります。
僕は半分冗談で、「悪(アク)ティビスト」というふうに訳すことがあるんですよ。「悪」だって皆思ってるけど、いや本当は違うよと(笑)。でも、そういうイメージがあるから、あまり我々は自らを宣伝しない。