【岸田英樹】国民投票から1ヵ月。イギリスは本当にEUを離れるのか?
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国民投票の結果に法的拘束力がないため、リスボン50条に基づいてEUに通知するために英下院で議会承認を経て法的根拠を与えることが最初のハードル。これを越えても期間として定められている2年間で交渉がスムーズに進むかというとこれも高いハードルですね。リスボン条約50条では、英国とEU間で2年以内に合意に至らない場合で、かつ双方の同意による交渉延長とならなければ、英国は自動的に離脱となるわけですが、現実的に交渉が道半ばでそうするとは考えづらいのではないかと思います。これまでにEUから離脱した国はなく、初めてのケースですから、最初のハードルを越えることができるかにまず注視したいところ。いずれにせよ霧が晴れるまでに相応の時間がかかる話ですね。
今週の「金融市場なう。」は欧州経済。世界を騒がせたブレグジット騒動から1ヶ月強経ちましたが、その後のイギリスについて野村證券の岸田さんに解説していただきました。どうやら結局、いいとこどりしてEUに残るのではと感じさせます。
そもそも国民投票で離脱派多数だから、はい離脱しますという単純な国でもなさそうですね。国民投票があったにも関わらず、英国に残る可能性が取りざたされる背景や、そのシナリオの場合の経路について分かりやすい。国民投票は「一票の格差」がなかったが、議席数ベースではどうなのだろう?都市部の方が残留が多めだったと思うので、それを議席換算(現在の議席数ではなく、投票区ごとの賛成・反対の優勢分を議席数に換算)したら、一層離脱のほうが多いのではないだろうか。それに反した投票を議員ができるかというのは、微妙だと思う。
なお、最後の税率の図を見ると、やはりBrexitした際の移転先としては言語・税メリットという点でアイルランドが濃厚に、個人的には見える。