【岸田英樹】国民投票から1ヵ月。イギリスは本当にEUを離れるのか?
2016/08/08, NewsPicks編集部
#13 岸田英樹/欧州経済
国民投票から1ヵ月。イギリスは本当にEUを離れるのか?
2016/8/8
法的根拠なき国民投票結果
「イギリスは将来もEUに残留する。5年後もEU加盟国の数は(現在の)28ヵ国から変わらない。」
英国民投票後の7月4日にこう述べたのは、シェリング・オーストリア財務相である。イギリスが5年後もEU(欧州連合)加盟国のままと考える人物は、EUの有力政治家の中にも存在する。
イギリス国民は6月の国民投票においてEUからの離脱を希望した。
しかし、イギリスが5年後もEU加盟国のままという事態も想定できる。イギリス政府がEUに正式に離脱申請を提出し、実際に離脱するまでに、相当の時間を要するからだ。
newspicks.com
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
注目のコメント
国民投票の結果に法的拘束力がないため、リスボン50条に基づいてEUに通知するために英下院で議会承認を経て法的根拠を与えることが最初のハードル。これを越えても期間として定められている2年間で交渉がスムーズに進むかというとこれも高いハードルですね。リスボン条約50条では、英国とEU間で2年以内に合意に至らない場合で、かつ双方の同意による交渉延長とならなければ、英国は自動的に離脱となるわけですが、現実的に交渉が道半ばでそうするとは考えづらいのではないかと思います。これまでにEUから離脱した国はなく、初めてのケースですから、最初のハードルを越えることができるかにまず注視したいところ。いずれにせよ霧が晴れるまでに相応の時間がかかる話ですね。
今週の「金融市場なう。」は欧州経済。世界を騒がせたブレグジット騒動から1ヶ月強経ちましたが、その後のイギリスについて野村證券の岸田さんに解説していただきました。どうやら結局、いいとこどりしてEUに残るのではと感じさせます。
そもそも国民投票で離脱派多数だから、はい離脱しますという単純な国でもなさそうですね。国民投票があったにも関わらず、英国に残る可能性が取りざたされる背景や、そのシナリオの場合の経路について分かりやすい。国民投票は「一票の格差」がなかったが、議席数ベースではどうなのだろう?都市部の方が残留が多めだったと思うので、それを議席換算(現在の議席数ではなく、投票区ごとの賛成・反対の優勢分を議席数に換算)したら、一層離脱のほうが多いのではないだろうか。それに反した投票を議員ができるかというのは、微妙だと思う。
なお、最後の税率の図を見ると、やはりBrexitした際の移転先としては言語・税メリットという点でアイルランドが濃厚に、個人的には見える。