江副は「最高のインスピレーター」だった

2016/6/7

あぶくで話ができる人

堀江 それにしても江副さんって面白かったんですね、当時から。
 最高ですよ。目の前の5秒、10秒、30秒ぐらいのことと、5年ぐらい先のことについて同時に話せるのよ。頭のなかでは一緒なんだね。
あの人の頭の中で水玉が飛んでいるとすると、いろいろな水玉があるんだけれど、ないのは10年ぐらい先の水玉。でも5秒水玉と10秒水玉と5年水玉がいっぱいある。
堀江 パラパラ飛んでるわけですか。それ、すごいわかります。
僕、逆にそういう人と一緒に働いたことがないので、東さんの気持ちを想像できるところと、できないところがあるんですよ。
そういう人と一緒に働くというのは、どういう気分なんですかね?
 江副と?
堀江 はい。江副浩正という人物と。今回のこの「リクルートとは何か」という企画は、僕の発案なんですよ。
僕は結局、最後まで江副さんに会えなかったんです。だからこそ江副浩正という人物がつくったリクルートという会社が、いまだに面白いのはなんでだろうと不思議でしょうがない。
僕はいろいろな会社を訪問しましたけど、「この会社、本当に面白いな」と思ったのは、リクルートだけなんですよね。
 堀江さんと江副が会ったら、江副は間違いなく喜んだね。つまり言葉じゃなくて会話ができる相手だから。
そういう人って少ないんですよ。江副って言葉数が少ない人でね。言っている言葉よりも、出しているあぶくのほうが多い人なのよ。あぶくで話しができる人って意外と少ないから。