忙しすぎるトップは経営ができない - 日本GE合同会社CEO 安渕聖司
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今月の主筆、連続Pick。大企業だけでなく、ベンチャーでも参考になる話が山盛り。まとめれば、トップの仕事は「会社を成長させるために、全社と自分の資源配分・優先順位をする」。そして、その仕事を達成するために、社外取締役含めた厳しい取締役会の監督を手段として用い、業務として最もタフなものが取締役会、一方でリソースを最も費やす業務の一つが人材育成や会社のカルチャーを何度にもわたってコミュニケーションしていくこと。
GEは今でもコングロだ。先日、DowとDuPontの合併(そしてそのあと3社に分社化されること)が発表された後に機関投資家である友人にどう思うか聞いた。というのは複数事業があることは景況感の変化への抵抗力を高める効果もあるから。その中で彼が言っていたのは「少なくとも内部市場が機能する必要がある」ということ。つまり、そのメリットを活用して社内で甘い雰囲気とならないように、明確なガバナンスが必要ということ。
あとは、一般論として経営全体としては楽になるかもしれないが、それは業績を上げられるというわけではなく、変数を絞り込むことでマネジメントリソースを徹底的・集中的につぎ込む、いわば「コミットメント」につながる側面もあるだろう。記事にもあるが10の相関が低い事業を一人のトップマネジメントがみるより、絞るほうが当たり前だが考える時間は増える。
外資を礼賛するつもりもないし、GEも株価・業績が伸び悩んでいる実態もある。とはいえ、利益の可搬を稼いでいたGE Capitalの売却などドラスティックな変化も行っている中である。トップマネジメントの姿勢や、そのガバナンスの在り方について、多く学べることはあると思う。大共感。
まずはやらないことを決めて、作業を仕組み化してアウトソーシングし、重要な仕事だけに集中すればいい。
でもほとんどの人がそうしない。
その理由は現場の作業のほうが楽だし、
嫌われたくないから捨てることができないし、
何が今重要なのかを考え抜く、脳みそをいじめることを先延ばしするからだと思う。
以下文
「忙しすぎるトップは、経営をしていない」
「事業や経営の課題と戦い、企業を成長へと導く経営トップはとても忙しい」。誰もがそんなイメージを持っている。現に、少なからぬ経営トップ自身が「多忙である」「時間がない」と自ら認めている。
しかし私は、それはおかしいのではないかと思う。事業戦略も経営戦略も、そしてトップ自身のあり方も、実は「何を捨てるか」が戦略の要諦になるからだ。
経営トップが果たすべき役割とは、「企業にとって一番重要な課題を選び抜いてそれに集中し、結果を出すこと」である。それ以上でもそれ以下でもない。それが手に付かないようではトップの役割を果たしているとは言えない経営陣や取締役のやるべきことという観点で非常に参考になる。
「勝つための戦略不在」
新たな戦略を策定するが、実行しようと具体論に入ると「あれはできない、これは変えられない、この人は動かせない」などと社内の制約条件ばかり出てきて、「良い戦略だが、当社では実行できない」という悲しい笑い話になる。
「アイデンティティーのさまよい」
一人のCEOが、例えば10を超える、相互に関連性の低い事業部門を、責任を持ってアクティブに経営するのは大変に難しい。
「強力なガバナンスの欠如」
取締役会が議論の場というよりは社内決定事項の報告会のレベルにとどまり、実質的な議論が行われていない。「この会社を長期的に成長させる」という社内・社外の取締役の強い使命感やオーナーシップが感じられない。
「人材育成と多様性に対する経営トップの思いの希薄さ」
50代後半のマネジメントが、ゼロ歳から100歳までのすべての消費者向けの商品を決裁する形になる。それで本当に消費者に選んでもらえる商品が誕生するのだろうか。