[東京 29日 ロイター] - 安倍晋三首相は、2016年度予算が成立したのを受けて記者会見し、世界経済に不透明感が増している現状を踏まえ、予算の早期執行を麻生太郎財務相に指示したと表明した。夏の参院選と同時に衆院選も行うかは「頭の片隅にもない」と述べた。29日夕、官邸内で語った。

首相は、「1億総活躍社会」の実現に向け、子育て支援や介護サービスの充実策を盛り込んだ総額96兆7218億円となる16年度予算に関し、「早期成立が最大の経済対策になると言ってきた。可能な限りこれを前倒しできるよう、麻生財務相に指示した」と述べた。

その上で、首相は、世界経済の現状に触れ、「年明け以降、中国の景気減速懸念や原油安で市場が大きく変動し、(世界経済の)不透明さが増している」と指摘。5月26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で「政策協調が求められる中、議長国として責任を果たさなければならない。力強い経済成長のためにどう貢献すべきか議論したい」と語った。

追加経済対策の是非に関しては「議論を尽くしながら見極めていきたい」と述べるにとどめ、具体的な言及を避けた。

一方、衆参同日選も選択肢かとの問いに、首相は「頭の片隅にもない」と語った。

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