コマツ、鉱山でGEに「急接近」の真意
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GEの動きをもう少し広い視野で俯瞰してみます。
①
GEはイメルトになってから、製品や事業のライフサイクルで収益を上げる戦略に特化しています。
(参考)ライフサイクルで収益を上げる戦略について
https://newspicks.com/news/1242950?ref=user_225356
②
これは、付加価値(顧客への価値提案)が「顧客が困っている点の解決」にあるとして、従来はファイナンスの提供から、豊富な資金を投入することによるハードの技術力、遠隔監視による効率的なアフターサービスの提供などをパッケージングして提供するものでした。(これはこれで強力なビジネスモデルです。真似できるものではありません。)
③
そこから考えるIndustrial Internetの位置付けは何か。これは顧客が困っている点の解決だけでなく「顧客の業績を確実に向上させる」方法に強力にフォーカスしていると言えます。ハードとソフトを統合したソリューションの提供により、顧客のライフサイクルコストの低減させると言うと分かり易いでしょうか。
(参考)「1%の力」を参照
http://www.ge.com/jp/industrial-internet
④
Industrial Internet はPredixという「OS」、データ収集・蓄積・分析するDataLakeと呼ぶ「DB」、Predictive solutionと呼ぶ用途別の「アプリ」によって構成されています。
(参考)
http://it.impressbm.co.jp/articles/-/11775
⑤
オープン(社外連携)/クローズ(秘匿化)に完全に分けた仕組みであり、Predix(OS)や顧客価値を最適化するアプリは外力(顧客・ベンダー)を巻き込み普及させることで事業領域や規模の拡大を図る一方、自社の「儲け」の源泉である自社製ハード機器やその制御/診断ソフトなどは完全にブラックボックス化しています。
⑥
以上から言えるのはコマツとオープンな連携を強化することで事業領域を広げ、データ蓄積等から知見を得る(ビッグデータ)を間接的に得ることにあると思われ、規模が限定的な鉱山機械業界で儲けることに主眼が無いと言えるのではないでしょうか。
注目のコメント
GEが米国企業で世界最大手のCATではなくコマツと組んだときには驚いた。でも記事3ページの「コマツとGEは結構文化が似ている」という部分は、まさにと思う点。IoTといったバズワードは嫌いなのだが、そういった記事のたびに、多分半分くらいの記事でコマツについて言及してきたが、地に足つけてデータの重要性を理解して、それの活用・融合をしてハードを磨いている。
GEがコマツ買収しないのかという質問は、kikidiaryさんが引用しているが、個人的にはこれはオフィシャルな答えでしかなく、面白い組み合わせと思う。コマツのディーゼルエンジンは発電機などにも使われるし、それはGEもやっている。こういった融合があれば、日本の産業史・経済史として画期的。なお、鉱山機械の需要は右肩下がりでも、保守需要で稼げる体制が構築されている。
コマツとGEの次世代鉱山機械開発のニュースを2014年にPickしたのが①、ビッグデータの提携についてPickしたのが②。なお、鉱山ビッグデータについては三井物産とGEも提携をしている(③)。いやぁ、地道にPickしてきてよかった!
①https://newspicks.com/news/317681?ref=user_100438
②https://newspicks.com/news/911254?ref=user_100438
③https://newspicks.com/news/1103352?ref=user_100438鉱山機械の世界需要のグラフがある。2012年以降、右肩下がりなのね。
以下、記事抜粋。
記者:GEほどの大企業ならば、どこかの鉱山機械メーカーを買収して鉱山会社に提案をするほうがコマツと組むより手っ取り早いのでは?
ソード氏:それは常に、GEも自問しています。けれど、いつも同じ結論になる。コマツは(鉱山機械という)彼らの領域でとても競争力がある。より高い価値を顧客に提供するためには、GEは自分たちが強いところにフォーカスしていった方がいい。コマツも同じ結論に至ったのではないでしょうか。日立と組んだリオティントはドローンの活用まで進めてきている
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLZO91467090X00C15A9FFB000/
GEとコマツは組まざるを得ない競争環境だったのでしょう