[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した2015年10─12月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.4%だった。2四半期ぶりのマイナス成長。市場の予測を超える景気減速となった。海外経済の減速で輸出が減少したほか、国内需要も消費や住宅など家計部門が悪化。設備投資の増加で補えなかった。足元の金融市場の混乱の影響で早くも1─3月期への懸念も高まっている。

<消費再び悪化、設備投資は連続増>

最大の下押し要因は民間最終支出だった。夏場には持ち直していた消費だが、10─12月期は前期比マイナス0.8%と再び悪化。実質所得の伸びが鈍く消費の基調自体が十分回復していない中で、暖冬により衣料や暖房機器、灯油の販売量減少なども影響。テレビやパソコンなど家電も足を引っ張ったほか、増税による軽自動車の需要低迷なども響いた。

住宅投資も前期比悪化に転じたほか、民間在庫投資(寄与度)は需要低迷を反映して2期連続の減少、在庫調整が続いていることがうかがえる。

在庫投資の寄与度は前期比マイナス0.1%となり、在庫調整が続いている影響が出た。企業が需要停滞に伴い、はん用機械や建設機械で需要減に対応した調整が続いている。

他方で、唯一プラス寄与となったのが設備投資。前期比プラス1.4%となり2四半期連続の増加。しっかりとした伸びとなった。機械投資や建設投資は振るわなかったとみられるが、マイナンバー対応や金融機関のシステム投資などが押し上げたもよう。

外需は、輸出が前期比マイナス0.9%と落ち込んだ。訪日外国人(インバウンド)による国内消費でサービスは増加したものの、財がアジア向けに加えて米国向け輸出も振るわなかった。輸入は内需低迷からマイナス1.4%と輸出の落ち込み幅より大きくなり、外需寄与度はプラス0.1%となった。

名目GDPは前期比マイナス0.3%となり、こちらも2四半期ぶり減少。

<焦点は先行き反発力>

年明けからの金融市場での混乱により実体経済への影響が懸念される中、注目はすでに1─3月期の動向に移っている。プラス要因として暖冬の悪影響がはく落するとみられることや、うるう年要因で消費が回復するとの見方もあるが、一方で、「急速な円高や株安が企業行動や消費にどう影響するか注視している」(内閣府幹部)としており、下方リスクに警戒感を高めている。

*内容を追加しました。

(中川泉 編集:吉瀬邦彦)