日本はどうすれば変わるか

2016/1/18

世の中は意外と合理的

竹中 このあいだから僕がいろいろな人と議論をして、それでも結論が出なかった問題があるんです。
みんな豊かになりたいと思ってるでしょう。だから中国やインドでも、日本と同じように自動車を持ちたい人はみんな自動車を持てるようになるとする。
何十億という人間が車を乗り回すようになれば、地球環境はもたないだろうという人もいれば、いやいや、電気自動車をはじめ、環境問題を解決するテクノロジーが開発されるから大丈夫だという人もいる。そんな面白いやりとりがあったんです。
今の話から逸れるかもしれませんが、これは技術が解決していくんでしょうか。
佐藤 私はいずれ技術が解決していくと思います。それが発明されるまでは、みんな苦しむかもしれないですが。
ただ、人間は、必要性に迫られると何かをつくってしまう生き物だと思うんです。それがテクノロジーなのか、法律なのかはわかりませんが、何かしらの解決策を見つけ出す気がしますね。
竹中 実は私もそういうことを言ったんです。かつてはマルサスの人口論があった。ジェヴォンズという人は「あと数十年で石炭はなくなる」と言った。
だから、未来を予測するときは、必ず悲観的な見方が出てくるんだけれども、テクノロジーも人間のライフスタイルも変わるし、われわれは今までも問題を克服してきた。これからもそうだと考えるほうが自然だと、私はそう答えたんですけどね。
佐藤 私もよほどのことがない限り、おかしな方向には行かないと思います。この世の中は、けっこう合理的といえば合理的じゃないですか。何か問題が起きれば修復しようと動く。
細胞と似ていると思います。怪我をすると血小板が集まって傷をふさぐのと同じです。また、もし右手がいきなり大きくなったら、体はおかしくなっちゃうのと同じで、どこかが強くなりすぎると世界全体がおかしくなっちゃうので、バランスをとりながらかたちを整えている気がします。