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片付けコンサルタント、近藤麻理恵氏(1)

【近藤麻理恵】300万部突破。片付け本は、なぜ世界に響いたのか

2015/12/11
今、日本と世界は大きな転換期にある。そんな時代において、世界レベルで飛躍する、新時代の日本人が生まれ始めている。本連載ではビジネス、アート、クリエイティブなど、あらゆる分野で新時代のロールモデルとなりえる「グローバルで響いてる人の頭の中」をフィーチャー。経営ストラテジストの坂之上洋子氏との対談を通じて、各人物の魅力に迫る。第1回は、片付けコンサルタントとして世界のスターとなりつつある、近藤麻理恵氏と対談。全世界で出版され、著書が300万部を超えるなど「こんまりブーム」を巻き起こす「片付けの神様」の人物像に迫る。

想像を超える反応、38カ国で出版

坂之上:「TIME」誌の「世界でもっとも影響力のある100人」の一人に選ばれたそうですね。おめでとうございます。

近藤:ありがとうございます。

坂之上:アメリカで大人気になっている『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)は、翻訳されて何カ国で翻訳されているんですか?

近藤:38カ国で出版が決まり、21カ国ですでに出版されたと聞いています。

坂之上:そんなに? もともとこの本は海外でも、受けると思っていたのですか?

近藤:思ってませんでした。思いきり日本人向けに書いたので。

坂之上:ここまでの反響があるとは?

近藤:はい。ただ、私の本は片づけの手法だけでなく、どちらかというと片づけを通して「生き方を考える」という内容です。そういう意味では、わかる方にはわかっていただけるかな、という気はしていました。でも、まさかこんなにたくさんの方に読んでいただけるとは思いませんでした。

『人生がときめく片づけの魔法』のアメリカ版『The Life-Changing Magic of Tidying Up』

『人生がときめく片づけの魔法』のアメリカ版『The Life-Changing Magic of Tidying Up

新しい出会いがないと物がたまる

坂之上:実際にどこが一番、響いたって思われますか?

近藤:「ときめき」というキーワードですね。英語では、「spark joy」って言うんですけど、「spark joy」というキーワードを使いながら片づけを進めていくっていうのが、すごく新鮮だったみたいです。

坂之上:ドキドキするものだけ自分の周りに残していこうっていう考え方ですよね。

近藤:はい。もともと海外にも片づけ本はたくさんあったと思うんです。でも、こういう考え方はなかった。

坂之上:私、『人生がときめく片づけの魔法』を読んだあと、『人生がときめく片づけの魔法2』も読ませていただいたんですが、2のほうは、片づけと人間関係についての関係を書かれていますね。

近藤:はい。2のほうではもう少し具体的な例を多く書いています。

坂之上:私、中にすごく心に残った言葉があって。『そもそも出会いがない人は、古い洋服や書類がたまっていることが多いと言えます』ってところ。

近藤:これはもう私がずっと片づけをやってきた経験の中から断言できることの一つですね。

坂之上:そういう人は、新しい出会いがない?

近藤:自分にとってときめかないものをたくさん持っている人や、古いものを持ちすぎている人は、やっぱり次の新しい一歩を踏み出しにくい方が多いんです。

坂之上:ものをたくさん持ちすぎている人は、自分の人生を生きにくい?

近藤:いえ、「ときめかないもの」を持ちすぎている人ですね。

坂之上:ときめかないものをたくさん周りに置いたままにしている状態、ですね。

近藤:私の方法で片づけをすると、もちろん部屋もきれいになるけれど、人間関係や仕事についても、それが自分にとってときめくものなのか、そうでないのかがはっきりわかるんです。だから自分の人生自体を考え直すようになる。

近藤麻理恵(こんどう・まりえ) 幼稚園年長時からESSE、オレンジページなど主婦雑誌を愛読。大学2年時に片づけコンサルト業を始める。会社員を経て、独立。女性限定の整理収納レッスンが人気を呼ぶ。著書「人生がときめく片づけの魔法」シリーズは国内累計190万部を突破。世界30か国以上で翻訳が決定した。今年4月、米誌タイムが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。

近藤麻理恵(こんどう・まりえ)
幼稚園年長時からESSE、オレンジページなど主婦雑誌を愛読。大学2年時に片づけコンサルト業を始める。会社員を経て、独立。女性限定の整理収納レッスンが人気を呼ぶ。著書「人生がときめく片づけの魔法」300万部を突破。世界38国以上で翻訳が決定した。今年4月、米誌タイムが選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。

片付けのセオリーは「カテゴリ別」

坂之上:自分のことで恐縮なのですが、1つ質問をしていいですか?

近藤:はい。ぜひ。

坂之上:私、とても好きなスカーフがあるんです。でも、過去にそれを身につけていたときに失敗した経験があるんです。

だからクローゼットを開けてそのスカーフが目に入るたび、そのときのことを思い出してつらくなる。でもなぜか捨てられない。ときめくんだと思う。

近藤:それは、とっておくべきですね。

坂之上:え、そうなんですか。でも、ときめくんだけど悲しい。つらい場面をぱっ、と思い出す、そういう複雑なものなので困ってました。

近藤:それを持っている自分に対して、どう思いますか?

坂之上:わかんないです。う〜ん、その失敗にまだ未練があるのかな。だから捨てられない。なんだか心理カウンセラーに相談してるみたいです(笑)。

近藤:それでいうと、これって最終的には、絶対自分で判断できるようになっていくんですね。だから私が今の段階でお勧めするとしたら、「それ以前の片づけを完璧に終わらせてください」ってことですね。

坂之上:いったん保留にして、ほかのところを片付けるのね。

近藤:私の片づけ法って、カテゴリ別に一気にやっていくのがセオリーなんです。洋服、本、書類、小物、思い出の品の順番で。

坂之上:順番も大事っておっしゃってますよね。

近藤:はい。選べないものは後回しにして、それ以外の片づけを全部終わらせる。カテゴリ別に順番通りにやっていって、判断が難しいものは後回し。

坂之上:確かに思い出の品が入った箱から掃除始めたら片づけがまったく終わらない経験って何度もしてます。

近藤:順番にほかのところが完璧に終わっていけば、そのスカーフも「悲しいけど、とっておく」とか、「思い切って手放そう」と言えるようになる。

坂之上:やはりそうなんですか。

近藤:本当に不思議なんですけど、ちゃんと自分で選べるようになるんですよ。
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坂之上:「持ち物と人間の心」って深く関係している。そのことを、近藤さんの本を読むことで再認識できたことって大きいです。

近藤:古い洋服や書類がたまってる人が、新しい人と出会えないっていうのは、心の問題なんです。

坂之上:わかる気がします。持っているものを意識したら、それはやはり、自分の人生を反映してる、って。

近藤:坂之上さんはもう少しで、そのスカーフを捨てるか残すかの決断ができるようになると思います。だいたい皆さん、こうやって、人にしゃべるとすぐに動けるようになりますから。

坂之上:ありがとうございます。その失敗を自分の心が乗り越えられたら、捨てるか取っておくか決めることができるんでしょうね。

近藤:その通りです。

坂之上:なんだか長年つっかえていたものが解決できるような気がしてきました。

(構成:長山清子、撮影:遠藤素子) 

*続きは明日掲載します。

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