【駒崎×慎(4)】見えにくい課題が山積……「一時保護所」の実態
2015/12/10, NewsPicks編集部
イノベーターズ・トーク Part4
【駒崎×慎(4)】見えにくい課題が山積……「一時保護所」の実態
2015/12/10
日本各地の児童相談所を取材している慎氏が、虐待された子どもや非行に走った子どもを保護する一時保護所の実態について語る。学校にも行けず、閉鎖された環境の中で、長期間にわたって生活する子どもたち。ここから見える児童福祉行政の課題とは。
慎:私は現在、日本各地の児童相談所(児相)を回って、取材をしているのですが、その中で「一時保護所」(児相に付属した施設で、保護した子どもを短期滞在させる)も見ています。
一時保護所は、基本的に外部の人に見せることがない場所です。そこでは、虐待家庭にあると見なされた子どもや、非行などで警察のお世話になった子どもが連れてこられます。
児相は、職権保護といって、保護者の同意が得られない場合でも子どもを保護することができます。ある人は冗談交じりに「行政による拉致」と語るくらい、非常に強い行政権限です。
一時保護所には、常時約1500人の子どもがいます。滞在期間は、平均で約1カ月間。そこは、決して良い環境とは言えません。都心であればビルの中で外にも出られず、グラウンドのような遊ぶ場所もありません。
1週間程度で家に戻る子もいますが、半分くらいは2カ月滞在します。これは、子どもを保護する目的とはいえ、相当な人権侵害になっている。
この期間は、学校に行くこともできませんし、携帯電話も取り上げられます。服も施設にあるものだけが与えられ、生活も朝7時から就寝の夜8~9時まで、といったように決められています。長期間続くと、間違いなく息が詰まるんですよね。
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コメント
注目のコメント
一時保護所については、今度まとめて書かせて頂く予定です。いま、一番関心を持っている分野。一時保護所の実態については、地域別に差があることも見えてきたので、私がここで書いていることも一部の現実であるということをご理解頂ければと思います。
この類の問題については、行政を一方的に悪者にして、分かりやすいストーリーを書く人が多いのですが、問題は構造的なものなので、誰かを悪者にするのは間違っていると思います。子どもは「保護所」の名前の通りに安らげる場所を求め、大抵の職員もそれが実現されるように頑張っている。それなのに望む結果が達成されないのは構造的な問題によるものです。
そういえば、自分は越境しまくっているので、色んな人の気持ちが(完全には程遠いものの)想像できて、違う人々をつなげられるのは有り難いことだなあと気づきました。マイノリティとマジョリティ、政治・行政・民間、途上国と先進国、貧困層と富裕層、ガラの悪い層とそうでない層、事業会社と金融機関、私企業とNPOなどなど。こんなんやってて、一体何になるのかはよく分かりませんが、思うがままに生きていくつもりです。ビジネス経験をもつ若いNPO経営者は少しずつ増えています。昨日も、駒崎さん含めそうしたNPO代表7人で集まり、いかにビジネス・政治・NPOを近づけ、クロスオーバーできる人材を増やすか何時間も議論しました。駒崎さんや慎さんは子ども領域での重要な仕事を続けています。私は復興ですが、同じく地域住民、NPO、企業の力を、行政に加えて集めていくひつようがあります。
「一時保護所」がそこまで劣悪な環境だとは知らなかった。本当に、まるで刑務所。子どもを守るための場所なはずなのに、むしろ子どもの人権を侵害してしまっている。
お二人が仰る通り、こうした問題をビジネスセクターの人たちがもっともっと知るだけで、問題解決は少しずつ進むはず。NewsPicksで特集を組んでくれた編集部には拍手を送りたい。けど、せっかくなら無料公開してほしかったな。
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