あの「キモいお父さん」と娘さんが本音でトーク
子どもと決めるスマホのルールを父娘で考えた
2015/12/9
小中学生の子どもが「スマホを持つこと」に不安を感じる親は多い。大人の目の届かない世界でネットにつながることのリスクは無視できないが、一方で子どもには子どもの事情があり、「持たせない」だけで済む問題でもない。はじめてスマホを手にする子どもを、親はどう守ってあげられるのか。そこで、中学生の娘と父がさまざまなテーマで議論した書籍『お父さんがキモい理由を説明するね』の著者である中山順司・サオリ父娘に、スマホについて本気で語り合ってもらった。
親ならば、遅かれ早かれ向き合わねばならない “子どもとスマホ”の問題。
受験生の娘(中学3年生)には「高校に入学したら、ゼッタイ買ってね!」と口酸っぱく言われているのですが、かわいい我が子がスマホを持ったがために不幸になってほしくありません。買うのは時間の問題ではあるのですが、何かしらのルールとか、共通認識は親子で共有しておきたいところ。
互いの言い分を真摯(しんし)にぶつけあい、父娘の両者がナットクできる着地点を話し合ってみました。
スマホがないと、友達との会話についていけない
父:今年の夏くらいから、「高校受験が終わったらスマホを買って!」って耳にタコができるほど言ってるよね。
娘:うん。今は受験生だからガマンしてるけど、高校に入学したら絶対に持ちたい!
父:周囲の友達やクラスメートでスマホ持っている子、多い?
娘:うちの学校は「スマホ持ち込み禁止」だから見たわけじゃないけれど、36人のクラス中、30人は持ってるよ。
父:じゃあ、「周りが持っているから」以外に、スマホが必要な理由を教えてくれる?
娘:スマホがないと友達との会話についていけないんだよね。クラスのLINEグループがあるけど、私は入れないし。ツイッターや動画サイトではやっていることもわからないんだよ。
父:人間関係上、必要ということね。
娘:そりゃそうだよ! お互い共通の話題がないと会話が減るもん。みんながネットの話で盛り上がっている横で、「へぇ〜」とか「そうなんだ〜」って相づち打つしかできないって、寂しいよ。
父:スマホを持っていないことで、友達から傷つくことを言われた経験はあるの?
娘:うーん、直接嫌な思いをしたことはないよ。でも、一緒に遊んでる友達がスマホに夢中になってて、会話が弾まなくなることはあるけど。
父:ひとつ確認するけど、サオリは“友人関係のために、スマホを持たねばならない”って強迫観念を持っていないか?
娘:それはぜんぜんないよ。単に外でもネットが使えた方がいろいろ便利だからほしいの! 音楽聞いたり、YouTube見たり、カメラで写真撮ったりもしたい。それに、スマホの辞書アプリを使えば勉強もはかどると思うよ。
「中学生のうちはダメ」父の4つの理由
父:「中学生の間は買い与えない」ってお父さんが宣言したのを、サオリは覚えているよね。なぜだと思う?
娘:んー……スマホに夢中になって、勉強をしなくなっちゃう危険性がまずひとつ。それとお金かな? 課金できてしまうアプリとか、通話料で膨れ上がってしまう人もいるっぽいし。
父:その通り。でも、この2つについてはそれほど心配していないんだ。
娘:え、そうなの? じゃあどうして買ってくれないの?
父:この2つはサオリの心がけ次第でコントロールできる。だけど、「人間関係」と「犯罪(に巻き込まれる危険性)」はコントロールできないでしょ。こっちが不安なんだ。
娘:そーゆーのって、どれくらいあるのかな? 周りでトラブルが起きてるって聞いたことは無いけど。
父:目に見えないのが怖いんだよ。ネットいじめって大人や教師に隠れてできるし、悪意ある大人による犯罪にしたってそう。その被害者になる危険性は、サオリがいくら気をつけてもゼロにはできないからな。
スマホから逃げればよいという単純な話でもない
娘:危険性があるのはわかるけど、だからって高校生になってからもスマホを持たないで、友達と普通に付き合えないのも困るよ!
父:そうだね。「スマホ=悪」と言うつもりはない。むしろ、サオリにはITリテラシーは持ってほしいしね。ただ、さっき言った4つの不安(学業への影響・お金・人間関係・犯罪)よりももっと大きな不安がある。それは、コミュニケーション能力が鍛えられないんじゃないかって不安なんだ。
娘:スマホとコミュ障がどう関係するの?
父:友達に真面目に何かを伝えたり、厳しいことをいわなくちゃいけないとき、LINEやメールに逃げてしまうと、対話するスキルが磨かれないだろ。そういう人、周りにいないか?
娘:いるかも。同級生に、メールではものすごくなれなれしくて、チャラい長文を送ってくるのに、実際に会うとおとなしくって敬語を使ってくる男子がいるよ。どっちが本性なのかわからないから困るよ。
父:スマホのおかげで、面倒で気が乗らない、照れくさい、気まずい、衝突を生む対話から逃げられてしまうんだ。サオリには、苦しい状況に立ち向かえる人であってほしい。
娘:でも、技術から逃げれば立派な大人に成長するってわけじゃないでしょ? むしろお父さんだってネット関係のお仕事だから、人と会わずにやり取りできるツールを使いまくっているよね。そっちこそ大丈夫なの?
父:うむ、メールやチャットをよく使うから自戒を込めて言うが、話がこじれる前にじかに話す機会を設けるよ。
「TONE」で初スマホ体験に感激した娘
スマホについて父娘の考えがわかったところで、今回、「子どもに安心して持たせられる」をコンセプトにしたトーンモバイルの新型スマホを2台お借りし、1週間使う機会をいただいた。娘は初めてスマホを持てることに大喜び。父親としては「本当に大丈夫かなぁ」という一抹の不安もあったが、下の動画で紹介されているトーンモバイルの「ファミリー機能」をいろいろと使ってみて、その感想を本音で語り合うことにした。
父:さて、TONEを親子で使ってみたけど、初スマホはどうだった?
娘:すごく便利だよ! まず画面が大きくて動画が見やすい。カメラも白黒とかセピア調に加工ができて超楽しい。大好きな柴犬を撮影しまくったよ(笑)。
父:どんな場所で使ってみたんだ?
娘:それが……学校も塾もスマホ持ち込み禁止だから、友達とでかけたときに持って行っただけで、家で使うことがほとんどだったの。
父:中学生って意外に使うシーンが制限されるんだな。制限っていうと、TONEモバイルは親の設定次第で、「子どものスマホ利用時間を制限できる」わけだけど、される側としてどう感じる?
娘:使いすぎ防止って目的はわかるけど、大切なやりとりをしている途中でも、予告無しにいきなりバチーンって切れちゃうのはちょっと嫌だな。
父:なるほど。じゃあ、お父さんがスマホ画面をコンコンとノックすると、サオリのスマホにコンコンが伝わる「エアノック」機能はどうだ? メールするほどでもないときに、「元気にしてるか?」って肩をたたく感じでお父さんはいいなって思ったぞ。
娘:私は微妙だったな。お父さんは面白がって何度もノックしてきたけど、何が伝えたいのかわからないんだもん。
父:うっ。サオリからノックが戻ってこないから寂しくて、つい連続ノックしてしまったんだ……。
「リクエスト機能」は、父娘ともに安心できた
父:メールより気軽な「家族伝言機能」はどうだった? 相手が読むまで必ず画面に表示され続けるから、見落としがなくて安心できる。お前、ガラケーにメールを送っても返事が翌日ってことがたまにあるだろ。
娘:私も家族伝言機能は便利だと思ったよ。「返事まだ?(´・ω・`)」「ごめん寝てた><」的なムダな往復がなくて済むもんね!
父:ほかにいいなと思う機能はあった?
娘:アプリの「リクエスト機能(おねだり機能)」がいいと思ったよ。親の許可がないとアプリを追加できないってことは、うっかり怪しいアプリを入れちゃう心配がないわけでしょ。お願いする手間はあるけど、お父さんは安心できるよね?
父:うん。子どもが好き放題にアプリを落とせるって、お父さんは猛烈に不安だからな。
娘:いまのところ、安全なアプリかどうかを私が自分で見抜ける自信は正直ないもんね。まぁ、そのうち「これ欲しい」「ダメだ」「なんでよ」って口論する予感はするけど(笑)。
「中3の娘を尾行しないでほしい」娘の魂の叫び
父:サオリは「GPSでスマホの正確な位置を親に特定されるのは、気持ち悪い」って言ってたよな?
娘:うん。お父さんに上空から監視されているようで、いい気持ちはしないね。
父:ピンポイントで場所を突き止めるのではなく、学校、家、塾……という登録ポイントを通過したときに親に通知が送られる「ジオフェンス」機能であれば、許せそう?
娘:ふんわりと場所を伝える機能なら大丈夫。っていうか、お父さんは塾や学校まで私を尾行する癖があって、GPSより百倍キモいよ。私の居場所チェックはジオフェンスに任せて、キモい行動はくれぐれも慎んでね。
父:うう、スミマセン……。
スマホを我が子に持たせるまでは、「自分がいったい何を恐れているか」をうまく説明できなかった。親子間の信頼関係が構築されているつもりでいたが、実際にトーンモバイルを持ち、一緒に使ってみて、高額な課金をされるアプリを知らず知らずのうちにつかまされたり、悪意あるアプリの餌食になったりしてしまうのではといった「アンコントローラブルな要素」が不安の正体だとわかったのは大きい。
そういった意味で、個人的に最も評価しているのは、子どもが使用するアプリを親と相談して決められる「アプリ制限機能」である。親は安全装置のロックを持てる安心が、子は最終ラインを二重で守られている安心があり、親子そろって最も頼もしいと感じた機能だった。
私見ではあるが、一人の親として、娘が子どもの間は(できれば高校生までは…!)、無条件に「スマホを使う自由」を与えたくはない。成長につれて口出しできる範囲は狭まっていくだろうが、これからも定期的に父娘で話し合って、スマホの使い方について決めていきたいと思う。
(執筆:中山順司、編集:呉 琢磨)