【堀江貴文】アマゾンが学ぶべき「第2世代のコンテンツ創り」

2015/11/5

15秒CMの時代は終わる

──堀江さんは、先ほどで、アマゾンの弱点として「エモーショナルでないこと」「コンテンツ愛が弱いこと」を挙げました。
近年、アマゾンは、コンテンツの流通だけでなく、制作分野での投資を増やしています。書籍分野では、編集者を雇ってオリジナルの書籍をプロデュースしていますし、最近は、映画・ドラマまでつくっています。
2015年は、コメディの『Transparent(トランスペアレント)』がテレビ界のアカデミー賞とも言えるエミー賞を受賞し、さらに、ウディ・アレン氏とテレビドラマの脚本・監督の契約を結んだと発表しています。
アマゾンは破竹の勢いでコンテンツへの投資を増やしていますが、アマゾンのようにコンテンツ愛が弱い企業でも、コンテンツ制作分野で成功できると思いますか。
堀江 成功するも何も、今はネット企業も自分でコンテンツを創るのが王道ですよね。それはネットフリックスも同じです。
ライブドア時代に、僕がテレビ局の買収を狙ったときに考えていたのも同じ戦略です。要するに、有料課金で、優良コンテンツに再投資をしていこうと思っていたんです。
従来の広告モデルでは、広告クライアントを気にしながらコンテンツ創りをしなければならない。それでは、必ずしもいいコンテンツを創れません。どうしても、制作費を安く抑えようという方向に流れてしまうので、「ひな壇芸人を並べたバラエティで視聴率を取っておこう」みたいな番組づくりになってしまう。
今は、有料のペイTVやネット配信業者のほうが良いコンテンツを創り始めていますよね。地上波のドラマよりも、WOWOWのドラマのほうが面白かったりしますから。これから、その傾向がますます強くなると思う。
──ただ、ネット企業が、コンテンツ制作に参入できたとしても、エモーショナルなところに強くないと、いいコンテンツを創れないという面はありませんか。コンテンツ創りの現場は、人間臭いというか、しがらみがたくさんありますし、コンテンツの創り手もアナログなタイプのほうが多いです。
それは既存のコンテンツ業界の文脈でやる分にはそうかもしれませんけど、制作会社に丸投げすれば、そこは大きな問題ではないですよ。結局、映像を創っている人たちは、テレビでもネットでも、制作会社の人たちですから。
これまでのコンテンツ創りは、あくまで「第1世代」の話。これから、コンテンツ創りは、第2世代へとシフトしていく。そして、「第2世代のコンテンツ創り」はまだどこの企業も本格的にはやっていません。