(空売り業者のリポートの内容や社債への影響を追加して更新します.)


(ブルームバーグ):カナダの医薬品メーカー、バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルは、同社が偽顧客への販売を架空の売上高として計上する手法を使っていたとする空売り業者のリポートについて、「誤り」だと反論し、バリアントが医薬品の在庫保管で利用している特殊医薬品専門薬局との関係を擁護した。

空売り業者が運営する株式情報サイト、シトロン・リサーチは、バリアントがフィリドーRXサービシズという特殊医薬品専門薬局を在庫保管のために利用し、それらの取引を売り上げとして計上していたと指摘した。21日のニューヨーク市場でバリアントの株価は、同リポートを手掛かりに大幅安となり、一時は40%安まで急落。同社の反論でその後値を戻し、118.61ドルで引けたが、それでも19.2%安で、一日の下げ幅としては2011年以来の大きさだった。

シトロン・リサーチのリポートは、特殊医療品薬局を活用して在庫を蓄え、取引を売上高として架空計上する手法について、「これはエンロン・パート2なのか」とし、「これらの類似点はあまりに似すぎているため看過できない」との見解を示した。

これに対して、バリアントは21日午後の発表で、「これらの特殊医薬品薬局に置かれている在庫には売り上げ面の利益は一切ない」と反論。医薬品は患者に届けられた時点で売り上げとして計上されると説明した。

アンドルー・レフト氏が創設した空売り業者のシトロンはこれまで、医薬品メーカーを買収した後にその医薬品価格をつり上げるというバリアントがここ数年続けてきたビジネスモデルを一貫して批判してきた。

バリアントは既成の医薬品の価格引き上げをめぐり激しさを増す議論の矢面に立っており、マサチューセッツ州とニューヨーク市マンハッタンの連邦地検から患者支援プログラムと医薬品の流通、価格決定に関する情報提供を求める召喚状を受け取ったことを先週明らかにしていた。同社は心臓治療薬「イスプレル」と「ニトロプレス」の価格引き上げについても議会の厳しい批判の目にさらされている。

 ビジネスモデルをめぐる批判

こうした状況はバリアントの株価に大きな打撃を与えており、 8月時点で年初来83%上昇していた株価は、その後ピークから55%反落。T・ロウ・プライス・グループや物言う株主として知られるビル・アックマン氏のヘッジファンド運営会社、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのほか、ルアン・カンニフ・アンド・ゴールドファーブなどの株主に打撃を与えた。

アックマン氏はバリアントの株価が急落する中で、同社株200万株を取得したことを21日に電子メールで明らかにした。

シトロンは21日のリポートで、フィリドーと同じ電話番号を使用し、ウェブサイトに同じような文書を掲載している複数の特殊医薬品用薬局の名前を公表。それにはR&Oファーマシーが含まれる。バリアントは、フィリドーがR&Oなどの薬局に対し、ロジスティックス(物流管理)とコンプライアンスの支援を行っていることが理由だと説明した。

米金融取引業規制機構(FINRA)の債券価格報告システム「トレース」によると、ニューヨーク時間21日午後1時(日本時間22日午前2時)時点で、ジャンク(投機的)格付けのバリアントの発行済み社債(残存期間は主に10年以内)の価値は15億ドル(約1800億円)相当失われた。ブルームバーグのデータによれば、同社の社債発行残高は約200億ドル。

原題:Valeant Calls Short Seller’s Accounting Allegation Erroneous (3)(抜粋)

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