某一流国立大学の大学生、承認欲求が高すぎる自分を持て余している

2015/10/16

【楠木先生への相談】

某国立大学の4年生です。来年4月より、外資系投資銀行にて、アナリストとして、M&Aアドバイザリーの仕事を行います。自分の人生の歩み方を、変えたいと考えています。小学生、中学生のころ、私はまったく目立たない存在でした。部活動でまったく活躍できず、学校では隅のほうにいてばかり。家庭内でも、スポーツ、勉強ともに万能であった弟の陰に隠れ、肩身の狭い思いをしておりました。それ以来、「なるべく多くの人から、自分という存在を認めてもらいたい」という強烈な欲求を持って、今日まで生きて参りました。
某一流国立大学に入ったのも、外資系投資銀行にアプライしたのも、すべて、この欲求を満たすためです。外資系投資銀行から内定をいただいたその週には、MBA留学予備校の無料相談会に参加し、いま、学生生活最後の夏休みの時間の多くを、英語力強化やコーポレートファイナンスの勉強にあてようとしています。
他人から、「〇〇くん、すごいね!」と言ってもらい、興奮を抑えつつ、「いや、そんなことないよ」と冷静を装って応答する瞬間が、残念ながら、生きていて最も幸福を感じることができます。自分でも身をもって理解しているのですが、「人から認められたい」という欲求に従って生きるのは、非常につらいです。実際、他人が私のことを気にかけてくれる時間なんて一瞬ですし、なにより、自分が挫折や失敗をした際に感じる他人からの視線が、どうしようもないほどに苦しい。それでも、また人から認められるためには、その失敗を繰り返しながら挑戦しなくてはいけない。一刻も早く、「人から認められたい」というコンプレックスの呪縛から解放されたいです。
もっと自分の人生を生きたいです。どうすれば良いでしょうか? ちなみに、好きなこと、やりたいことはありません。親から、「内定をもらったんだし、人生最後の夏休み、旅行とか遊びにでもいったらどう?」と言われるのですが、別に行きたい国や、やりたいこともなく、ただただ勉強をしています。
(大学生、男性、20代)

心配することは何もない

あなたは最高です。どうぞこのまま、好きなようにしていてください。「別に行きたい国や、やりたいこともなく、ただただ勉強をしています」。イイじゃないですか。他にやりたいことがなければ、スキなコーポレートファイナンスや英語の勉強をしているに越したことはありません(BGMは丸山圭子の「どうぞこのまま」がお薦め。古すぎるかな? でもイイ感じのボサノヴァで勉強がはかどること請け合い)。
承認欲求が強すぎて辛いとのことですが、これは誰でも若いときに罹患する病気です。とくにあなたの場合は、まったく心配ございません。僕がそう断言するのは、2つの強力な理由があるからです。
第1の理由、それはあなたの場合、ごく近い将来にこの病気から解放される可能性がきわめて高いということです。
誰にでも、人から認められたいとか、褒められたいという欲があります。若い時分はしばしばこの欲が必要以上に肥大化してあなたのような病気に至るわけですが、あなたがフツーでないのは、異様に確かな自覚症状があるということです。自覚症状がありすぎるといっても過言ではございません。