AI時代に必要な「リテラシー」と「教養」とは何か

2015/10/5

志とパッションの違い

佐々木 この対談を通じて、パッションと志はキーワードになっていますが、志とはパッションと似たものですか。
佐藤 どうなんでしょうね。でも、パッションは、私利私欲のためのパッションもあるじゃないですか。
佐々木 確かに。
佐藤 自分の優秀さを証明したいとか、一番になりたいということがパッションの人もいる。しかも、それがすごいエネルギーになっていたりするから、難しいですよね。
竹中 まあ2つの解釈があるとすれば、私的なrate of returnとソーシャルなrate of returnは違うということを、教養としてどれくらい理解しているかでしょう。
私的なrate of returnは下がっても、social rate of returnが高いことを許容できるかどうか。もうひとつは、短期のrate of returnと長期のrate of returnが違うということを理解できるかですよね。
たとえば、中国が強くなることは、日本にとって得か損かという話があります。中国が強くなると競争で負ける。だから中国が強くなるのはけしからんという意見がある。
短期的にはそうですよ。でも、中国が強くなって安くていいものを供給してくれたら、私たちの生活水準が上がるわけですから、長期的には明らかに得です。だから、中国に発展してもらって、自由貿易をするほうがいい。それをどのぐらいちゃんと理解するかは、やっぱり重要だと思いますよ。

将来を見据える力は養える

佐藤 でも、そうなると問題は頭の良し悪しになってしまいませんか。全体の構造がわかって、時間軸まで把握できるとなると、それはもう生まれつきの頭の良さになってしまうような気がします。