エジソンからウェルチ、イメルトまで
CEOはわずか9人。インフォグラフィックで見るGE137年の歴史
2015/9/29
1878年、エジソンが電気照明会社を設立したところから始まったGE。発電、航空機エンジン、医療機器など幅広い事業領域を持つ、世界最大のコングロマリットでもある。常に時代の新しい産業を自ら切り開いてきたGEだが、しかし、そんな巨人の137年の歴史で、CEOはわずか9人しかいない。創業者のエジソンと9人のCEOからGEの歴史をインフォグラフィックでひも解く。
長期的な経営ビジョンで各時代のパイオニアに
トーマス・エジソンが生み出した電灯に起源を持つゼネラル・エレクトリック(GE)が、いかにその時代に応じた産業を切り拓いてきたかは、ざっと歴史をたどるだけでもよくわかる。
「世界が本当に必要としているものをつくる」というエジソンの言葉通り、技術を生み出すだけでなく、それが普及し人々の生活を豊かにし、自ら新市場を創出することで世界最大のコングロマリットであり続けている。
1896年のダウ平均株価の算出開始以来、指標銘柄として唯一存続している企業でもある。
GEの経営者として、ジャック・ウェルチ、そのあとを継いだジェフ・イメルトの名前を思い浮かべる人が多いだろう。ウェルチの在任期間は20年、イメルトも2001年に就任して以来、すでに14年が過ぎている。
GEには、一人の経営者が10年、20年といった長期スパンで経営戦略を練り、実行に移す文化が脈々と受け継がれている。137年の歴史の中で、CEOがわずか9人というのはその証だ。
5代目CEOのラルフ・コーディナーは、1956年に世界初の企業内ビジネススクールをニューヨーク州クロトンビルに開設した。ウェルチの時代にこの研究所はさらに強化され、いまも、GEグループで起こっている問題をリサーチし、解決案を出し、経営層にプレゼンし、評価する制度がある。この例をはじめとし、GEは人材育成に毎年10億ドルを注ぐ。この姿勢は、経済危機でも不況下でも変わらない。
イメルトも25歳でGEに入社した直後にウェルチに会い、幹部候補として選抜されながら45歳でCEOに就任している。
それでもイメルトはウェルチの築き上げた功績をただ踏襲するのではなく、景気やマクロ環境に応じて自らのやり方で新しいGEへと導いている。ウェルチ時代に収益の柱だった金融事業を売却し、メディア事業からも撤退し、いまは製造業に回帰している。
エネルギー関連、医療、航空機関連が現在のGEの事業の柱だ。その中で、最近はソフトウェアとデータの分析分野にも注力しており、今月、新事業部門「GEデジタル」を発足。たとえば、航空機エンジンの部品にセンサーを設置して、各部品の稼働状況を地上に通知。それによって、整備の時間を大幅に短縮するなどの活用が見込める。高度なデータ分析と通信を融合して、生産性向上をもたらす「インダストリアル・インターネット」でGEは次なるイノベーションを起こそうとしている。
長期的な経営ビジョンがあってこそ、GEはその時代を切り拓くパイオニアであり続けた。9人のCEOがその歴史をつくり、いまもGEは自ら「プレミア・デジタル・インダストリアル・カンパニー」と呼ぶ新しい姿へと進化している。
(インフォグラフィック:櫻田潤、文:久川桃子)
