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2015/9/15
──先ほど、AR(拡張現実)を使ったレーザーアイウェアを、視覚障害者向けのマーケットなどに投入してはどうかという話になりました。「ヘルスケア×IT」の領域こそ、ソニーの強みが生きる分野だということですね。
堀江 ソニーはヘルスケアテックの会社になってもいいかもしれません。
ロンジン 内視鏡向けのカメラなどの取り組みの話もありますし、ヘルスケアテックの分野も積極的に取り込む余地はありそうですね。
堀江 ヘルスケアの領域は、結構、パテントでがんじがらめの世界というのはありますけど、ニッチな会社が伸びてきているんですよね。喉用の内視鏡のマーケットを狙うようなニッチな会社もありますし、それ以外にも面白いベンチャー企業がいっぱいあります。
たとえば、「モバイルの超音波エコー」を扱うベンチャーもあります。訪問診療とか、遠隔地医療とか、発展途上国の無医村とか、そういうところにプロダクトをおさめていけば、グローバルで見るとマーケットはすごい規模になりますよ。
やっぱり、医療機器は、なんだかんだいっても単価が高い。価格でいうと、普通の民生用機器よりも10倍から20倍くらいは少なくともしますよ。たとえば、ソニーは放送局などプロ向けの映像機材を扱っていますけど、医療機器はそれよりも全然でかい。
特に、医療系の映像、画像デバイスあたりの分野は、一番、ソニーの得意分野と合うと思います。そうした派生技術をどんどんベンチャーとして事業化していって、ソニー本体はそこの株式を2、3割持てばいい。上場したらキャピタル・ゲインを得られるし、マイナーで持ち続けて配当収入を得ることもできますから。
──実際、エムスリーもソニーの中から出てきたベンチャー企業ですよね(2015年3月時点で、ソニーのエムスリーの持ち株比率は39.4%)。
堀江 エムスリーは、ヤバイですね。MR向けの医療情報サービスという、すごい金脈を掘り当てましたよね。MRの補助ツールみたいな存在になっていますよ。
──時価総額は約8000億円に達しています。
堀江 エムスリーはソネットの子会社ですから、ソニーの孫会社にあたるわけです。孫会社からこんなすごい会社が生まれるんですから、ソニーにはやっぱりすごいポテンシャルがあると思うんですよね。
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コメント
注目のコメント
医療機器はゼロから私自身かやりたいと思うくらいのポテンシャル市場、モバイルブロードバンド、スマホドリブンのセンサーの小型化廉価化の影響て急速に業務用品の低価格化モバイル化が進む。そこはソニーの昔ながらの得意分野です
色々なアイディアが詰まっていたが、まとめてしまえば「B to C」から「B to B」へ、という方向にならざるをえない、to Bの中でも現在の技術が一番活きそうなのが医療/ヘルスケアだろう、ということでとても全うな議論。
今は儲かっていても、映画も音楽もゲームも、大きな構造変化の中でじり貧になるという認識も正にその通りなのでしょう。
提案の背骨自体は見ようによっては良く言われていることながら、このインタビューがすごいのは、上記のストーリーを語りながら「こつこつ地味な会社になりましょう」という感じではなく、ソニーが期待される「ワクワク」というものを「再定義」しましょう、という道筋が見えるから。
単にヘルスケアやりましょうだけでなく、技術をコアに新しいものを次々生み出し、変化のある領域でベンチャーにもガンガン出資する、という手法は普通の大企業にはできない。大企業の強みが活きる領域で大企業の中で「取り組み方」の革新性、差別化で戦うことがエンタメ的領域でなくても新たな「ワクワク」であるという提案はとても面白いと思いました
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