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2015/7/31
インフラ系の会社に勤める36歳男です。私は入社以来、次のような経歴を辿ってきました。
営業→開発→事業開発→営業推進→人事→営業→人事
ここまでジョブローテーションを繰り返し、正直、会社のことはよくわかったと自負しております。会社がどの方向を目指しているのかもよくわかるし、社内人脈も豊富です。しかし、特段自分の専門性は何かと聞かれると、答えられない自分は、対外的に市場価値が低いなと感じてしまいます。
現在は、営業が自分の最も追求したい仕事かなと思っています。会社に人事異動を願い出るべきでしょうか?(会社にそういう制度はあります)。
(インフラ系会社、男性、36歳)
好きなようにしてください。当然ですけど。「営業が自分の最も追求したい仕事かなと思ってい」るのであれば、営業への異動を希望すればよいと思います。当たり前ですけど。
大企業のジョブローテーションに意味はあるのか、というお尋ねです。意味はあります。この方はこれまでいろいろな部署や職種を経験して、「営業が自分の最も追求したい仕事かな」という感触を得るに至った。会社が目指す方向性もわかった。社内人脈もできた。すなわち、「ジョブローテーションには意味がある」ということです。ご自身が身をもって証明しています。以上、僕の回答でした。
……と、これで終わってしまうのもちょっとアレですので、余談にはなりますが、このご相談にかぶせて、ジョブローテーションやビジネスパーソンの市場価値、専門性といった論点について、僕の考えをお話しさせてください。
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コメント
注目のコメント
楠木先生が経済学者としてタダモノでないことが伺える深い考察。「人や組織に関する施策や制度についていえば、全面的に「いいこと」や全面的に「悪いこと」はほとんどありません」というあたりは至言です。
さて、ジョブローテーション。全社の視点で人材育成や人事制度の議論をするときに経営レベルで良く出てくるのは、「ちゃんと経営幹部を育成するために幹部候補生はちゃんとローテーションさせないと」ということ。記事でいう「掛け算」の内容ですが、「専門バカ」ではマネジメントは出来ません。もちろん専門家は専門家として生きていく方法もあるので、すべてを一緒くたにやっているというのはちょっと違うかもですね。
個人的なキャリアとは関係ないですが、ジョブローテーションのもう一つの意味は、組織のタコツボ化を防ぐことです。組織はすべからくタコツボ化します。これはいつの世も真な、いわば「定理」ですね。なので、適度にローテーションすることで部門の部分最適を防ぐというのも、全社的な意義と言えます。人事のプロに聞くと、占部さんの言う通り「専門バカ」にマネジメントは出来ないという観点からジョブローテーションさせるパターンと、どこからも早期に追いだれるために結果としてジョブローテーションしているパターンの2種に分かれる。そして後者の人でも自分は前者だと信じているケースが意外と多いとのこと。