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SMBCが100億円規模の出資でスタートアップと国内NO.1プラットフォーム構築へ(24年9月国内調達トップ5)

SMBCが100億円規模の出資でスタートアップと国内NO.1プラットフォーム構築へ(24年9月国内調達トップ5)

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平川 凌
Coffee Break with Startups平川 凌

2024年9月、日本のスタートアップ業界ではエポックメイキングな資金調達事例がいくつか見られました。

日本からグローバルトップを目指すAI企業、SMBCグループにより100億円規模の出資、世界でもトップティアとして知られるVCからの資金調達など、注目のニュースがありました。トップ5社の事例を見ていきましょう。

*9月発表分のみが対象。上場企業のグループ会社として設立された企業は除く

サムネイル画像:DALL·E 3での生成

☕️coffee break

1.  Sakana AI(サカナAI):シリーズAで約300億円を調達

・AIモデル、科学研究のプロセス全体を完全自動化するAIサイエンティストの開発

・投資家:New Enterprise Associates、Khosla Ventures、Lux Capital、NVIDIAなど

・評価額:15億ドル(約2246億円)

ここに注目👉世界から精鋭が集まり、わずか1年あまりでユニコーンに

2023年7月にグーグルの元研究者らにより設立され、わずか1年あまりでユニコーン企業となりました。現在、社員は20名ほどですが、日本で世界トップクラスのAIラボを構築することを目指しています。

今回の資金調達では、米国トップティアのベンチャーキャピタルに加え、日本社会が直面している課題を解決するために三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンク3行、NEC、富士通など日本の事業会社10社からも資金調達を行いました。

2. インフキュリオン:三井住友フィナンシャルグループが約100億円を出資(既存株主からの株式取得を含む)

・組み込み型金融(Embedded Finance/エンベデッド・ファイナンス)サービス

・今回の投資家:三井住友カード、三井住友銀行(株式計20%超を取得し持分法適用会社化)

ここに注目👉SMBCグループと国内NO.1の決済ソリューション・プラットフォーム構築へ

2006年の創業以来、決済や貯金、カード発行、金融機関向けサービスなど、あらゆる金融サービスを開発・提供してきました。2020年にはKyash(キャッシュ)から法人向けカード発行事業「Kyash Direct(現:Xard(エクサード))」を事業譲受し、BtoB決済事業の強化に取り組んできました。

一方の三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」を強化中。マネーフォワードの家計簿アプリを合弁会社化、カナダのユニコーン企業「Hopper(ホッパー)」との旅行サービス立ち上げも発表しました。

そして、次は法人事業。SMBCグループは2028年度以降に法人決済事業を柱にすべく、インフキュリオンをパートナーに国内NO.1のプラットフォームを構築することに決めたのです。

インフキュリオンは本提携の推進と共に、既存事業の継続成長を追求しながら、引き続き株式上場も目指しています。

3. RUTILEA(ルティリア):シリーズDで融資含め、総額約86億円を調達(子会社での調達も含む)

・特定業界向けバーティカルAI事業などの展開

・今回の投資家:大和ハウスベンチャーズ(リード投資家)、グローバル・ブレイン、Shimadzu Future Innovation Fund(島津製作所CVC)など

👉原発被災地で最先端のデータセンターを構築へ

中央省庁、自動車産業など、特定の業界に特化したバーティカルAI事業に取り組んできましたが、新たにAI開発プラットフォーム事業の立ち上げに取り組みます。

今回の調達資金をもとに、子会社で福島県双葉郡大熊町にエヌビディアの最先端半導体を搭載したデータセンターを整備します。これまでAIモデル開発に取り組んできた経験から、AI開発者が使いやすく、安価に利用できるプラットフォームを構築を進めています。

現在、代表的なクラウドサービスとして、アマゾンのAWSがありますが、その8分の1ほどの利用料でデータセンターを提供します。

4. ダイニー:シリーズBで約74.6億円の調達

・オールインワンのレストランクラウド

・投資家:Bessemer Venture Partners(リード投資家)、Hillhouse Investment Management(リード投資家)、Flight Deck Capital、Eclectic Management(Thrive Capitalの関連ファンド)

ここに注目👉世界トップティアの投資家だけで固められた異例の資金調達ラウンド

ダイニーはPOSレジ、モバイルオーダー、顧客管理、決済、勤怠サービスなど、飲食店の運営に必要なあらゆるサービスを提供しています。

今回、世界でも最上位と評価される投資家から資金調達ができた背景には、アジアのToast(トースト)になると期待されているからです(Toastはダイニーと類似の事業を展開する米国の上場企業で時価総額は2兆円を超える)。

資金調達ラウンドをリードした投資家も紹介していきましょう。

・Bessemer Venture Partners(ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ)

→米鉄鋼企業カーネギー・スチール共同創業者の資産を管理するために1911年に設立された歴史あるVC。Toastが初めてVCから資金調達をした際のリード投資家を務め、急成長を間近で見てきた。

・Hillhouse Investment Management(ヒルハウス・インベストメント・マネジメント)

→米国イェール大学から出資を受けて2005年に設立されたファンド。同年に1号案件として出資したのが、中国テンセント。

2024年末のARR(年間経常収益)は20億円を見込んでおり、人材採用・請求管理システムなど、新プロダクトを相次いで開発して、2028年頃にはARR100億円超えを目指しています。

5. 令和トラベル:シリーズAで約48億円を調達

・海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート」の提供

・投資家:SMBCとグローバル・ブレインの共同ファンド「SMBC-GBグロース1号」(リード投資家)、X&KSK(本田圭佑氏のファンド)、PKSHA Technologyなど

ここに注目👉設立11年目にして上場企業元社長が本気の事業拡大へ

KDDIが2017年に買収したホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」を運営するLocoPartnersの創業者篠塚 孝哉氏が再び旅行分野の課題解決に取り組んでいます。

当初は海外ツアー予約のみでしたが、現在ではホテル予約にも対応。今後は航空券、グループ予約に対応すると共に、国内旅行・グローバル対応・インバウンド旅行へと進出することで、事業拡大していく計画です。

また今回の資金調達で、機械学習アルゴリズムを用いてAIソリューションを開発するPKSHA Technologyと資本業務提携を締結。生成AIを活用した旅行検索、AIトラベルコンシェルジュ、ダイナミックプライシング(需要に応じた変動料金)など、AIを活用した新機能の開発を強化していきます。

『Coffee Break with Startups』では、スタートアップのトレンドやホットなニュースを解説しています。ぜひ、以下のURLからフォローいただけると嬉しいです。


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ノーベル賞候補者が携わる「すごいスタートアップ」
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コメント


注目のコメント

  • 永吉 健一
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    株式会社みんなの銀行 取締役頭取

    9月は、スタートアップへの大型資金流入が続きました。 特に、日本発でグローバル展開を目指すサカナAIや、三井住友FGによるインフォキュリオンへの出資に見られるように、メガバンク系資本がAIや決済領域に積極的に投資を行っている点は注目すべき点です。
    GAFAをはじめとするメガテック企業の成功は、技術力の高さに注目されがちです。しかし、彼らの成長を支えてきたのは、グローバルな金融市場からの潤沢な資金調達でもあります。
    この点において、日本のスタートアップが今後さらに成長していくためには、メガバンクを始めとした金融機関からの資金供給がこれまで以上に重要になってくるのかもしれませんね。


  • 平川 凌
    ユーザベース スピーダ事業 スタートアップアナリスト/NewsPicks Content Curator

    9月の国内スタートアップの資金調達事情はすごかったですね。海外投資家から日本のスタートアップ・エコシステムがより一層注目された1ヵ月となった印象です。

    1月:2社が過去最大のデット調達
    https://newspicks.com/news/9523653
    2月:日本の技術をもとに世界に挑む
    https://newspicks.com/news/9652012/
    3月:大型調達に新たな選択肢
    https://newspicks.com/news/9782292
    4月:トップ5はサステナビリティ一色
    https://newspicks.com/news/9921472
    5月:5月は10社が20億円超の資金調達
    https://newspicks.com/news/10066841/
    6月:大型調達、秘訣は海外展開
    https://newspicks.com/news/10213715
    7月:ビッグマネー続出!6社が50億円超を調達
    https://newspicks.com/news/10356788/
    8月:日本のスタートアップの戦略が多様化
    https://newspicks.com/news/10491389/body/?


  • 髙尾 知達
    badge
    Funds取締役CLO/弁護士 Fintech協会常務理事

    インフキュリオンとSMBCの事例は業態は異なれどフィンテック企業が銀行グループに入りスイングバイIPOを目指す点でカンムとMFUGのケースに近いですね。金融事業においては既存の顧客基盤と信頼の獲得が重要であり、また体制整備にコストを要し収益化に時間がかかることから一つ合理的な選択肢であると思います。ただ、グループ入りすることで新しい取り組みに対して消極的になったり事業上の意思決定に時間がかかりスタートアップとしての戦い方が難しくなる可能性もあります。丸山さんが前例のないサービスを共創し続けたいと語っているのもそのあたりを念頭にあると思います。フィンテック業界の活性化のためにもぜひシナジーによる事業成長とIPOを達成してもらいたいですね。


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