現地の人々はどのように夏を楽しんでいる?
費用対効果は抜群、ジャカルタ遊園地の魅力とは
2015/7/19
前回のコラムではラマダンについて書きましたが、ラマダン中の居酒屋・レストラン、バーなどでの、アルコール事情についてまず補足したいと思います。
お酒好きの私は、ジャカルタの中心部のみ、「ラマダン中のアルコールの扱い」についてリサーチしてみました。結果、一部の小売店やクラブ、カラオケ店などを除けば、基本的に、元々アルコール小売の許可があるお店は、変わらずに飲酒が可能でした。
もっとも、時にはアルコール自体オーダーできないお店もあります。ただ、店舗ごとでお酒を出すべきか否かを判断しているようで、一律NGということではありませんでした。
お店自体も、もともと、夜飲みに行くようなところは店舗(エリア)が固まっているからか、特にカーテンなどの目隠しをすることもなく、通常通りの営業という印象です。
ただし、一部ワインセラーやお酒を陳列している棚などは、中身が見えないようシートで覆うなど配慮しているお店は多いですし、閉店時間も通常より早く、おおむね0時には閉店しています。
ただ、あくまでもわれわれは外国人で、ここはインドネシア人の国です。宗教、特にこの時期はムスリムの人たちに配慮することは大前提。節度ある態度を保って生活することが必要だと感じました。
さて、7月と言えば、世の中はそろそろ夏休みシーズンです。ジャカルタは日本のような娯楽は少ないのですが、長期休暇や週末に人気の場所といえば、家族で楽しめる「遊園地」です。
ジャカルタの人々はどのように夏を楽しんでいるのか? リサーチすべく、東南アジア最大級のジャカルタのリゾート地区「アンチョール(ANCOR)」にある海に面した遊園地「アンチョール・ジャカルタ・ベイ・シティ(Ancol Jakarta Bay City)」に行ってみました。
客引きに呼び止められて
ジャカルタ市内から路線バス(日本でいうところの山手線のような主要交通網『Trans Jakarta』)を乗り継ぎ、タクシーを使っておよそ1時間程度で到着。
「wikipedia(ウィキペディア)」によれば、このアンチョールは「インドネシアのジャカルタにある遊園地、ゴルフ場、ボウリング場、リゾートホテル、プール、水族館などが一体になったテーマパークや高級住宅が建ち並ぶ地区」とのこと。言葉に違(たが)わず、家族や恋人、友人たちと遊ぶのにぴったりな、大規模なレジャー地区です。
入園料は200円程度。残念ながら、われわれが行った折には、目玉である水族館は改装中でお休みだったのですが、ジャカルタ市内では難しい「のんびりとしたペースでの散歩」ができたことだけでも気持ちの良さを感じました。家族連れがキャーキャ―と楽しそうに泳いでいるのを横目に見ながら、海風に頬を優しくなでられながら公園内でくつろぐ。まさに至福の時です。
海岸付近をブラブラしていると、レジャーボートのオジサンから、「今から出るけれど、ネーチャンたち、乗らない?」とお誘いが。そこで、料金200円程度の入江20分周遊コースに乗船してみました。
年季の入った20人乗り程度の木製の小舟で、コースも短いので対して期待をしていなかったのですが、これが思いのほか楽しかった。海自体はとてもキレイとは言いがたく、終始妙な臭いを感じましたが、それでも「海からジャカルタを眺める」という滅多にない体験をすることができました。
楽しさと危険性が比例するゴンドラ
海岸沿いに架かるロープウェイをつたって走る、アンチョール名物の「ゴンドラ」にも乗ってみました。
ゴンドラは、大人が6人程度乗れるサイズです。どうやら車体は日本製のようですが、機械の故障が珍しくないインドネシアでは、こういった乗り物は楽しさと危険性が比例するのが常です。何よりも、一番の怖かったのはゴンドラのスピードの速さ。往復20〜30分程度なのですが、少なくとも日本のゴンドラの1.3倍の速さで進んでいたように思います。
しかし、時刻はちょうど夕刻。ゴンドラから見る、茜色の美しい夕日は格別でした。これが、往復500円以下で味わえるのなら、再訪もアリだと思いました。
さて、ここまでで皆さん、あることにお気づきになられたでしょうか? そう、ジャカルタはリゾート地区でさえ物価がとても安いのです。
アンチョールの食事も、ファストフードからローカルフードなど何でもそろっており、安価なのでおすすめです。
何はともあれ、この海辺の一大パーク。日本の遊園地のような想定内の面白さに飽き飽きした人は、ぜひ一度お試しあれ! 費用対効果抜群、思ってもないジャカルタの楽しさを味わうことができます。
<連載「『駐在員妻』は見た!」概要>
ビジネスパーソンなら一度は憧れる海外駐在ポスト。彼らに帯同する妻も、女性から羨望の眼差しで見られがちだ。だが、その内実は? 駐在員妻同士のヒエラルキー構造や面倒な付き合いに辟易。現地の習慣に適応できずクタクタと、人には言えない苦労が山ほどあるようだ。本連載では、日本からではうかがい知ることのできない「駐妻」の世界を現役の駐在員妻たちが明かしていく。「サウジアラビア」「インドネシア」「ロシア」「ロサンゼルス」のリレーエッセイで、毎週日曜日に掲載予定。今回は「インドネシア駐在員妻」編です。
【著者プロフィール】 Ms.ムサコ
バブル期を知らない1970年代後半生まれ。
地方都市出身→東京にて10数年企画編集・PRなどの仕事に従事→インドネシア住まい。
語学スキルゼロ&人見知りにもかかわらず、後先考えず外国人に話しかける癖あり。
ゆるゆると日々のおもしろ出来事を収集中。