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中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実験はどこまで進んだのか?

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実験はどこまで進んだのか?

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林 雅之
デジタル政策と未来社会林 雅之

財務省は2024年10月3日、「第4回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議」を開催しました。

日本銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の技術的な実現可能性を探るため、段階的かつ計画的に実証および実験を進めています。

CBDCは、中央銀行が発行するデジタル通貨として、キャッシュレス社会の基盤となる技術の一つであり、今後の金融インフラの重要な柱として期待されています。

日本銀行では、技術的な検証だけでなく、社会的な実装に向けた準備も進めており、今回のパイロット実験の進捗状況と今後の展望について、とりあげたいと思います。

CBDCに関する実証実験のフェーズ

実証実験は2021年4月に開始され、第1フェーズではCBDCの基本機能である発行、流通、還収に関する技術的な検証が行われました。このフェーズでは、実験環境を構築し、基礎的なシステムの機能を確認することに重点が置かれました。

その後、2022年4月から始まった第2フェーズでは、CBDCの周辺機能が追加され、その技術的実現可能性についての検証が進められました。ここでは、CBDCの拡張性や運用性についても議論され、実際の社会実装を見据えた検討が行われました。

2023年4月からはパイロット実験がスタートしました。このフェーズでは、単に概念実証に留まらず、実際に技術面や運用面での実現可能性を深掘りするため、民間事業者の技術や知見を活用した検証が行われています。

出典:第4回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議 2024.10

パイロット実験の全体像

技術的な課題を解決するために、64社の企業の実務者や技術者と協力しながら、具体的なシステムの構築と検証が進められています。また、これらの企業との協力により、フィードバックを相互に行いながら、実験内容の改善や参加者の範囲を段階的に拡大していく方針が取られています​。

パイロット実験の進行において、実験用システムでは、CBDCの中央システム、仲介機関のネットワーク、エンドポイントデバイス(ウォレットアプリなど)を用いて、システム全体の流れをシミュレートしています。

エンドツーエンドでの実装や、プライバシーに配慮した設計が重要視されており、ユーザー情報や取引情報が適切に保護されるよう、システム設計が工夫されています。

また、性能や事務量に対して高負荷に耐えうるシステム構築を目指し、技術的な課題や解決策が模索されています。

さらに、機能拡張や性能拡張を容易にするための設計が組み込まれており、CBDCが将来的に拡張性を持つ形で運用できるように検討が進められています。

出典:第4回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議 2024.10
出典:第4回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議 2024.10

CBDCフォーラム:各ワーキンググループにおける議論

CBDCフォーラムでは、さまざまなワーキンググループ(WG)が設置され、各分野での議論が進行中です。

WG1ではCBDCシステムと外部インフラやシステムとの接続方法について検討されており、ユーザーが銀行預金を引き落としてCBDCに交換する「払出」機能や、その逆の「受入」機能についての整理を行っています。

WG2では、CBDCエコシステムの概念整理が進められ、決済領域でのエコシステムの発展を支える具体的な技術、特にAPIの活用について議論されています。

WG3ではKYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング防止)の実施方式について検討が行われており、システムの共同化によって業務の効率化や高度化が図れる可能性が議論されています。

WG4では、新たなテクノロジーの活用についても議論が進められており、台帳システムの新しいデータモデルやデータベース技術が検討されています。

さらに、他の決済手段や資産との共存(アセットトークナイゼーションやDLT基盤との相互運用性)に関しても、CBDCが既存の金融インフラとどのように共存できるかが模索されています。

WG5ではユーザーデバイスとUI/UXの設計が議論されており、既存のキャッシュレス決済の課題を踏まえたユーザー体験の改善が求められています。

今後の展望

日本銀行は、パイロット実験の成果を踏まえて、CBDCの実装に向けた準備を進め、将来的にはCBDCが日本の金融システムにどのように貢献できるかを具体化していく方針です。

CBDCは日本におけるキャッシュレス社会の一翼を担うと同時に、国際的な決済インフラの競争力向上にも寄与する可能性も期待されるところです。


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注目のコメント

  • 林 雅之
    国際大学GLOCOM 客員研究員

    財務省は2024年10月3日、「第4回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する関係府省庁・日本銀行連絡会議」を開催。日本銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の技術的な実現可能性を探るため、段階的かつ計画的に実証および実験。
    2023年4月からはパイロット実験がスタートしました。このフェーズでは、単に概念実証に留まらず、実際に技術面や運用面での実現可能性を深掘りするため、民間事業者の技術や知見を活用した検証。


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