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誰でも簡単に文章上手になれる「体言止め」のコツ

誰でも簡単に文章上手になれる「体言止め」のコツ

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庄子 錬
社会人1年目に受けたかった「文章の授業」庄子 錬

こんにちは!

最近あらためて思ったのですが、体言止めを避けるビジネスパーソンって多いんですね。

体言止めがあると、必ず「です」や「である」を加える。なかには原稿のやりとりをしているとき、「体言止めはやめていただけますでしょうか」と丁寧にコメントしてくださる人もいます(とくに40代以降に多い気がします)。研修とかで「いいですかみなさん、仕事で体言止めを使ってはいけません!」と厳しく習ったのかなと思ってしまうほどです。

先日も、ある経営者の本づくりをしているなかで、すべての体言止めに赤字が入っていたので、思わず「体言止めってお嫌いなんですか?」と聞いてしまいました。すると、「なんか見慣れなくてね……使ってもいいのかな?」という返答でした。

体言止めは悪なのでしょうか?

答えは「ノー」。体言止めを適切に使うことで、リズムがよくなったり、視認性が上がったり、読み手の意識を引きつけたりできます。

今回は「体言止めを効果的に使う方法」について考えてみましょう。

「体言止め」は仕事でも使える

この原稿を書くためにWebや書籍でいろいろ調べていたら、「ビジネスシーンでは体言止めはNG」とけっこう書かれていることに気づきました。みなさんのなかにも「仕事で体言止めを使うべきではない」と思っている人は多いかもしれません。

でも、本当にそうなのでしょうか?

たしかに、メールやチャットなどのテキストコミュニケーションや、契約書や請求書などの公式文書では明確さや正確さが求められるため、「含み」や「余白」が出がちな体言止めは避けるべきでしょう。

一方で、体言止めは、読み手の注意を引き、印象を残す効果があるのも事実。

ぼくの場合、読者に「考えてもらう」「感じてもらう」余地を残したいときや、「~です」や「~ます」が続いて単調になったときなどは体言止めを使うようにしています。

たとえば以下のような場面では、体言止めが有効なシーンがあります。

●------------------------------------------

  • オウンドメディアの記事
  • プレゼン資料
  • ブログ記事やSNS投稿

------------------------------------------●

以下のような場面では、むしろ体言止めを積極的に使うのがおすすめです。

●------------------------------------------

  • 題名、見出し、表のタイトル
  • 名詞を強調する箇条書き
  • キャプション(画像や図の説明文)

------------------------------------------●

体言止めを適切に使うことができれば、文章のビジュアルもリズムも格段に上がります。

実例で学ぶ! 体言止めの使い方10選

では、どんなシーンで体言止めを使うべきなのか。この連載で書いてきた文章をとおして見てみましょう(太字部分が体言止めです)。

1. 
締めくくりは、書き手と読み手の最後のコミュニケーションであり、読後感との架け橋。「読後感は、締めくくりで決まる」といっても過言ではありません。

【解説】

英語の第二文型(SVC)は「S(主語)=C(補語)」を意味しますが、Cの部分で体言止めを使えるケースがあります。ただ補足となる文章を後ろに書く必要があり、かつ、その文章も前文のSやCと関連させる内容だとグッドです。

2. 
ありきたりとは、多くの人が読み慣れている表現のこと。読み手の頭に意味がスッと入ってくるので、冒頭で「ん?」とならずに済みます。

【解説】

文末が「こと」のときは体言止めしてもOKなケースが多いです。

3. 
坂上田村麻呂や山片蟠桃のように長かったり難しかったりする名前の場合、自然と意識が向くので案外ミスしにくいもの。間違えがちなのは「同音異字の名前」です。

【解説】

2の「こと」と同じく、文末が「もの」の場合、体言止めを使えるシーンはけっこうあります。

4.
たとえば、こんな文章。部下に対して「A社の進捗確認」をしたときの返信です。

【解説】

「たとえば」のあとも、体言止めは使えることが多いですね。とくに後続の文章が「です」で終わる場合だと、「たとえば〜です。〜です」というように「です」が続いて、あまり美しくない。そんなときは体言止めを使うことで、視覚的にも聴覚的にも変化を加えられます。

5. 
次に、時間を区切って書ききるパターン。このパターンは、以下のような場合に有効です。

【解説】

4と似ていますね。他にも「最初にお伝えしたいのは〜」「1つめは〜」みたいな文章は、体言止めとの相性がいいです。

6.
ある取材でのできごと。同席していたライターさんが、取材対象者の目をじいっと見て話しながら、ずっと手を動かしてノートにメモをとっていました。「ブラインドタッチ」ならぬ「ブラインドライティング」です。

【解説】

これも4と似ています。言葉の存在意義はそれほどないものの、後続の文章を読んでもらいたいときに「前フリ」みたいな役割で体言止めを使うことがあります。

7.
ただし、プレスリリースやニュースレターなど会社として公式な発表をする場合は、「漢字5割、ひらがな5割」くらいにするのがおすすめ。そのほうがかしこまった感じが出ます。

【解説】

「おすすめ」で体言止めするケースもよく見かけます。「おすすめです」にすると平仮名が続いて言葉の力強さが欠けるし、かといって「お勧め」や「お薦め」もなんか小難しい感じが出るし、「オススメ」は安っぽい。「おすすめ」で言い切ると視覚的にインパクトも出せるし、後続の文章がないときでも使えます。

8.
ぼくは過去に一人だけ、「いっさいメモを取らない(=必要な情報はすべて記憶できる)」という人に会ったことがあるのですが、そんな人はごくひと握り。大多数の人にとってメモは欠かせない存在だと思います。

【解説】

これも「です」を付けてもおかしくないのですが、この一文が長めなので、最後はキリッと絞まりをよくしたい。あとは「ごく一握り」という言葉を強調したいので、体言止めにしました。

9.
ビジネス文章では、論旨や主張が明快であることが何より大事。小説やエッセイであれば「100人中1人にとことん気に入ってもらえればいい」という考え方もありますが、ビジネスシーンではそういうわけにもいかない。

【解説】

「大事」「大切」「重要」も体言止めしやすいですね。ただぼくの感覚としては、「周知の事実を念押しして伝えるとき」は体言止めでもOKなのだけれど、「当たり前ではないことを大切だと書くとき」は「です」を入れたほうが説得力が上がる気がします。

10.
テーマは「文章の締めくくり」。結末、ラスト、オチ、仕上げ。2023年の最終投稿。

【解説】

これはやや難易度が高いというか、クセが出る使い方です。体言止めをつなげることでリズムを生み出すわけですが、この例文では「文章の締めくくり」と「2023年の最終投稿」という中くらいの長さの単語のあいだに、短い単語が4つ挟んでいます。いわば「サンドイッチ体言止め技法」ですかね。

いろいろ説明してきましたが、感覚的な話もかなり入っているので「そんなことないでしょ」と思う部分もあるかもしれません。

いずれにせよ、体言止めは悪いやつではないので、忌避すべき対象ではなく「文章に彩りを加えるスパイス」としてぜひ取り入れてみてください。体言止めは使いよう。……あれ?

では、また次回の記事でお会いしましょう。


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コメント


注目のコメント

  • 庄子 錬
    株式会社エニーソウル 代表取締役/編集者

    体言止めを避けるビジネスパーソンは多いですが、適切に使うことでリズムがよくなったり、視認性が上がったり、読み手の意識を引きつけたりできます。

    そこで今回は「体言止めを効果的に使う方法」について考えてみます。


  • 神崎 裕介
    badge
    stylist /タイタンの学校(校長・太田光代)講師、文化デザイナー学院講師、ファッションスタイリスト オーダーメイドスタイリスト

    個人的には、自然と体言止めを使っていますね。
    やはりです、ますが続くとリズムが退屈になるし、読み流されてしまう。

    ここは立てたい!ときは体言止めで。
    リズムを変えるというか、音楽でいう転調の効果があるかと思います。

    改めて体言止めの用法に注目した記事、面白かったです。


  • 向山 純平
    ㈱リーフ・パブリケーションズ 「SakeWorld(経済産業省採択事業)」マーケティングディレクター

    これまで900本近く記事を書いた経験がありますが、文章というものに厳格なルールは存在しません。

    美術などにも言えますが、ろうが…ゲフンゲフン、経験を積まれた層が「べき論」として振りかざしているだけです。

    求められるスキルはつまるところ、「読み手に伝わるか」のただ一点。

    もっとも、ただ使うだけでもダメで、そこからさらにテクニックが必要ですけどね。


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