(ブルームバーグ): ウォール街では、人工知能(AI)トレードで次の足掛かりをつかもうと、注目の大型株以外の銘柄へと物色の対象が広がってきた。

ここ1年半に破竹の勢いで株価が駆け上がってきた「マグニフィセント・セブン」が息切れしつつあるとの読みから、一部の投資家はメリウス・リサーチが「AI出遅れ組 」と呼ぶ銘柄に目を向けている。これにはインテル、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、IBMが含まれる。AIへのエクスポージャーを持ちながら、今年上期に最大のAI勝ち組の快進撃についていけなかった銘柄だ。

上記3社はいずれもここ1カ月にアウトパフォームする一方、AIの申し子であるエヌビディアは同期間に小幅下落した。17日の取引では、半導体株が軒並み安の展開。半導体製造装置大手の東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングなどの企業が先端半導体技術へのアクセスを中国に提供し続ける場合、利用可能な最も厳しい貿易制限措置の利用を検討しているとバイデン米政権が同盟国に伝えたとのブルームバーグ報道が材料視されている。

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重要な点として、出遅れ組のバリュエーションは割安で、かつセンチメントと利益見通しに関してクリアすべきハードルが低い。つまり、これらの銘柄は今年下期に極めて望ましい位置にあると言える。

メリウスのアナリスト、ベン・ライツェス氏は「半導体やハードウエア、ソフトウエアでさえも、期待値の低い一部の銘柄については『キャッチアップ 』トレードを確信している」と今月のリポートで指摘。2023年にも同じようなパターンが見られ、上期の出遅れ組が下期に健闘したと続けた。

同氏はまた、上期にアンダーパフォームした銘柄のリストにアップルを加えた。アップルの株価は、他の出遅れ組へのローテーションに先行して4月以降は回復基調にあるが、待望のAI新機能を先月発表してからは特に騰勢を強めている。

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ロバート・W・ベアードのテクノロジー・デスク・セクター・ストラテジスト、テッド・モートンソン氏は、ファンダメンタルズは強いが期待値が低く、上昇余地が大きい銘柄へのローテーションが始まっていると話す。

「注目のAI銘柄はここ1年で倍になったが、ここからは成長鈍化に直面する」とモートンソン氏。「ロケット科学者でなくとも、これらの銘柄に投資が極端に集中しており、見過ごされてきた企業の追い上げがあるかもしれないと考えるだろう」と述べた。

来週発表されるIBMの4-6月(第2四半期)決算は、足元の流れが継続するかどうかを見極める上で重要な手掛かりとなりそうだ。1-3月はコンサルティング部門の売上高低迷を嫌気して、株価が1日としては約2年ぶりの大幅な下げを記録した。大型株は今年、相次ぎ最高値を更新しているが、IBMは13年以来、最高値を更新していない。

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足元では小型株が好調で、これにはハイテク株も含まれる。小型ハイテク株の指数は16日に3%上昇し、昨年12月以来の大幅な上げを記録。一方、大型ハイテク株の指数は0.4%下落した。大型株は今年、依然として大きくアウトパフォームしhているが、ここ1カ月は小型株の方が好調だ。大型ハイテク株の3.8%上昇に対し、小型ハイテク株の上昇率は10%を超える。

原題:‘AI Laggards’ Find Favor as Magnificent Seven Stocks Lose Luster(抜粋)

--取材協力:Subrat Patnaik.

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