【挑戦】GAFAMを攻めろ。「AI半導体」のダークホースが本気だ
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本記事の当事者であるレゾナックにて最高戦略責任者/最高リスク管理責任者を努めております真岡と申します。
この度は弊社が発表した半導体パッケージコンソーシアムのUS-Jointに関して詳細に取り上げていただきありがとうございました。
今回の発表には様々な背景やそれに対する戦略的意図が込められています。
まず、AIがもたらす付加価値の可能性と足元のソフトウェアとハードウェアとの性能ギャップです。ChatGPTに代表される生成AIの出現によってAIによるイノベーションの可能性が一気に民主化しましたが、そのソフトウェアの能力を最大限に発揮できるだけのハードウェアの性能と量がまだ十分ではありません。
そのため、ハードウェアのイノベーションはいまそこにある付加価値にすべて転換されるという大きな事業機会になっています。エヌビディア社の株価のトレンドはまさにその状況を示唆しているとも取れるでしょう。
弊社が今回発表したUS-JointというコンソーシアムはGAFAMに代表されるハイパースケーラーによる半導体設計活動、および既存のファブレス半導体メーカーやIDMの製品開発を加速する大きなポテンシャルを有しています。
地政学影響が強まる中、半導体の製造だけでなく開発活動もまた地域特性とは無縁ではいられません。日本が持つ半導体エコシステム、特に装置や材料の領域における強みを発揮するための新たな形態をこのコンソーシアムにて模索していきたいと思います。生成AIの作り手側には、複数レイヤーが存在します。消費者が見える表層だとChatGPTやCopilotのようなアプリ、LLM。その下のレイヤーだとAIチップやデバイスなど。下のレイヤーで消費者から見えなくなるほど、縁の下の力持ちのような役割となり、生成AIの開発運用になくてはならない存在となります。エヌビディアが無敵と呼ばれる所以です。
レゾナックはまさに下のレイヤーで、AIチップに付加価値をつける=回路に処理をする技術を持ち、チップの情報処理能力を高める措置ができるのが強みです。確かに注目の企業だと思いますし、成長が期待されると思います。
ただ、ダークホース(有望な穴馬)かと言えば、NVIDIAがAI半導体の本命だとすれば、レゾナックさんは、その業界にスゴい飼料を供給しているとか、有望な仔馬をたくさん生産しているとか、そういった類の位置づけだと思います。
AI半導体のダークホースは、今、孫さんが買収交渉中のGraphcoreだと思います。
https://www.rxelectronics.jp/news/softbank-plans-to-acquire-ai-chip-company-graphcore-for-400-million.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Graphcore
買収金額は安く、注目が集まっていませんので、まさに大穴(当たればデカい)といったところです。
他にも、PFNのMN Coreも世界から見れば穴馬でしょう。
フランスの凱旋門賞で日本馬が優勝できるのかといった感じでしょうか。
https://projects.preferred.jp/mn-core/
https://newspicks.com/news/10240673/?ref=picked-news_9985
https://x.com/PreferredNetJP/status/1792710876707123234
ちなみに半導体プロセスの開発が鈍化すればするほどドメインスペシフィックチップ(特定用途に特化したチップ)が有利になります。
(つまり、どんなレースでも勝ってしまう馬は存在しにくくなり、短距離レースで優勝するのはこの馬、中距離で優勝するのは別の馬、長距離ではさらに別の馬というようになります。さらに凱旋門賞だけ勝てるとか、有馬記念だけ勝てるのように。)
例えば、分子動力学専用コンピュータのAnton3は、NVIDIAのGPUより20倍速いのです。
https://www.hpcwire.jp/archives/51736
しばらくすると、このようなアプローチに注目が集まってくるでしょう。
ちなみにAnton3のライバルは理化学研究所で開発されたMD-Grape4Aです。
https://www.bdr.riken.jp/ja/research/facility/mdgrape-4a.html