トランプ氏の免責特権一部認める、米最高裁 審理差し戻し
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最高裁の今期の目玉判決は「大統領が公務なら何をしてもいい」という仰天レベルの免責を容認する判決。司法長官に「選挙に不正があったと言え」ということも免責。集会参加者に「襲撃しろ」という発言が「公的」か「私的」かは、下級裁判所に判断を任せましたが、判断は難しいはず
一昨年の中絶禁止容認、昨年のアファーマティブアクション廃止に続く、 6対3の保守派大多数の最高裁は想像の斜め上のレベルのゴリゴリの超保守。アファーマティブアクション判決は予想がつきましたが今回は予想以上。
今回の判決で、今後大統領が命じる破壊行為や戦争が正当化され、「公務」を使って私的利益を追求する利益相反も認められてしまう恐れもあります。権力分立はアメリカ政治のDNAですが、今回の判決はそのバランスも揺るがす、大統領独裁を後押しする判決です。この判決、いい悪いはともかくとして、画期的な判決ではあります。
画期的なだけに、解釈の不明なところが多く、これから解釈を定めていくために、各級の裁判所でいくつもの裁判が行われていきます。
少なくとも、時間が何年もかかるのは確かです。
当面、解釈が争われるのは、免責の対象となる「公的な行為」とは何か、ということです。
大統領が違法行為をしても、それが「公的な行為」であれば、罪に問われないことになります。
極端な話、今、バイデン大統領が米軍にトランプ氏殺害を命令して空爆とかで殺害したとしても、それが「公的な行為」ならば罪に問われないことになります。
そんな無茶苦茶なことができるわけはないので、この判決の是非を含めて、これから各級の裁判所で争われていくでしょう。これによって、2020年の大統領選結果を覆そうとして起訴された事件の公判は11月の選挙前に開かれないことがほぼ確実となりました。大統領に返り咲けば、自ら指名する司法長官に起訴の取り下げを指示するとも指摘されています。討論会はバイデン大統領の自滅でしたが、ここへ来てトランプ氏がぐっと流れを引き寄せています