富士通、一律初任給廃止へ ジョブ型新卒、40万円超も
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新卒からジョブ型採用と銘打たれてはいますが、労働契約上は以下の2点を別途合意したに過ぎないだろうと思われます。
①職種や勤務地について限定を行う合意
②他の総合職とは別の給与テーブルに基づき給与支給を行う合意
注意をしたいのが、職務限定の合意を行った場合には、旧来のメンバーシップ型雇用によって雇われている従業員に比べて整理解雇が行いやすくなる可能性が指摘されている点です。
整理解雇についてはいわゆる解雇避止義務(別のポストを見つけてあげる努力をしてあげたか等)が問題になりますが、従業員に対して検討・提案すべき配転実施が可能な範囲はより限定されるケースがあり得るという指摘もされています(⽵内寿「『ジョブ型雇⽤』が⽇本の労働法にもたらす影響」⽇本労働研究雑誌739号〔2022年〕35⾴、裁判例に関しては大阪地判平成24年11月9日:学校法人村上学園事件など)。
きちんとスキルが磨ける環境に、本当においてもらえるのであれば整理解雇を恐れる必要はないという強気の姿勢もないわけではないとは思いつつ、クビ切りがしやすいけど身に付いた専門性は社内独自スキルばかりの専門屋さんにならないかは少し心配になります。■富士通は原則公募も含め、グローバルタイプのジョブ型雇用に突き進んでいる印象です。
■一方で、新卒からの厳密なジョブ型採用は、
①職種別に母集団形成できる大手企業しか実施できないこと
②ほとんどの学生に職業訓練と実務経験が無いこと
が変わらないので日本で広がる余地はあまりありません。
「新卒から給与に差がつく」といっても、大卒以上なら給与に差をつける要素が薄いです。
■また、多くの企業のジョブ型採用は、昔からあるコース・職群別採用にすぎません。「ポジション別採用」と「職種別採用」を区別せず(できず?)、同じ「ジョブ型採用」と呼び続けているのが、議論の混乱のもとです。富士通さん、以前はOpenWork上のスコアが高くはなかったのですが、この数年でめきめき改善してきています。実際に投稿されているクチコミを見ても、組織変革に関するコメントが多く、これからの変化を注目している企業の1社です。