5月貿易赤字、1兆2213億円 財務省
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季節調整値でみると、輸出が前月比+1.2%の一方で輸入が同+1.5%となったことで、貿易赤字額は同+6.3%拡大しています。
主因は中東情勢の緊迫化に伴う化石燃料の値上がりでしょう。
なお、円安で輸入金額が膨張することを理由に、貿易赤字の主因を円安に求める向きも少なくありません。
しかし、円安は一方で輸出額の増加にもつながるため、円安が必ずしも貿易赤字の拡大につながるとは限らないことには注意が必要でしょう。私は遠い昔の中学校で、資源に乏しい日本は加工貿易の国、つまり、資源を輸入して国内で加工して輸出して稼ぐ国だと教わりました。しかし、1990年代半ばを境に、日本は貿易収支で黒字を稼ぐ国から、所得収支で黒字を稼ぐ国に変わっています。
貿易収支が赤字に変わっても所得収支で経常収支は黒字を保つ、しかも、海外で稼いだ利益が円安で膨らんで、史上最大規模の経常黒字になっていますから、これが日本に還流して国民に行き渡れば良いですが、海外で稼いだカネが海外で再投資され、日本に戻って来ないところが問題です。こうした状況だと、空洞化が進んだ国内で高い賃金の職場が生まれないのみならず、外国で日本企業が外国人に賃金を払って稼いだカネが日本に還流せず、日本で働くほか無い人たちは、外国人が豊かになるのを指を咥えて見ているしか無くなります。
それが今、我が国で起きている現象です。難儀なことではありますね・・・ (・・;ウーン1月~4月までの国際収支を累計して昨年の同時期と比べますと、貿易赤字がほぼ半減したにもかかわらず、今年は年初より円安が進みました。為替市場の規模に照らして、貿易収支の影響は限定的と考えられます。では無関係かと言えば、そうではありません。市場参加者の「貿易赤字なら円安」といった期待に働きかけるからです。因みに、新NISA開始に伴う日本の海外資産投資が円安を招く一因との見方もありますが、同じく証券投資を累計してみる限り、本邦勢は約1519億円の処分超となっており、円安を招いた痕跡はみられません。多方面で指摘していますが、円安の主因は大幅なマイナス圏に位置している実質金利(=名目金利-インフレ率)と考えられます。