【モデルナ】日本法人社長が語る、コロナバブル後の戦い方
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mRNAワクチンを開発するモデルナの日本法人、モデルナ・ジャパンの長山社長にインタビューしました。モデルナを形容し、「パンデミックのビジネスしか経験したことがないという、世界でも稀に見る企業」と話していたのが印象的でした。
日本のサイエンスに話題が及んだときに、これまでに取材したことのある方々のお名前が次々に出てきたのは嬉しい驚きでした。記事中にリンクを貼ったので、よかったらぜひ、過去記事も合わせてご覧ください。長山さんがエーザイにいらっしゃった2021年に、スタートアップ投資についてお話を伺ったことがあるので、当時印象的だったことについて少し書いてみます。
『2年で世界10社以上に投資、エーザイCVC体制の秘訣』
https://initial.inc/articles/cvc-toranomaki-eisai
エーザイは、当時5年で150億円と、日本の事業会社では非常に大きな規模のスタートアップ投資枠を確保していました。
長山さんは中期経営計画などを立てる上で、エーザイの新たな未来を創っていくためにスタートアップ投資を行う必要があると感じたようです。
そこで、内藤CEOと柳(当時CFO)に提案するとともに、上手くいかなかったら、自分が全責任をとるので、スムーズに投資判断・実行ができるよう、経営陣に意思決定の権限委譲をしてもらえるよう交渉しました。
その結果、日本チームだけで年400-500社のスタートアップを調査し、うち200社と面談。ソーシング(案件発掘)から投資実行までを、最短1ヵ月とアーリーステージの独立系VCと同じくらいのスピードでの投資活動ができる異例の体制を構築していました。
長山さん『上手くいっていないことこそ、率直かつ、早急に情報共有する必要があります。スタートアップ投資の7~8割は上手くいかないので、失敗こそ赤裸々に打ち明けることで、信頼を得やすくなります』
記事内でも取り上げられているように、モデルナは2023年にオリシロジェノミクスという日本のスタートアップを買収しました。
長山さんがモデルナ・ジャパンの代表に就任されることで、こうした動きがさらに加速することに期待しています。ここのところ長山新社長のインタビューが各紙で出ていますが、どの記事でも話している今後の業績回復に向けた重要戦略がインフルエンザ・コロナの混合ワクチンです。
もっともこの点はかなり未知です。確かにワンショットで済むという利点はあります。しかし、mRNAワクチンに関しては、mRNAを体内に入れると炎症反応が起きやすいという性格ゆえに、接種後に自覚症状のある副反応の頻度が既存のワクチンに比べてかなり高いという点がどうしてもネガティブに捉えられがちだからです。
このことを考えると、医療従事者ではある程度混合ワクチンが支持されるかもしれませんが、一般接種者で同様とは限りません。
コロナ以外ではRSウイルスワクチンが承認申請中なのでいずれ登場するとは思いますが、どうしても先行するGSKやファイザーのワクチンにシェアを取られてしまうでしょう。
加えて最近の研究ではモデルナ製のRSウイルスワクチンは、他のRSウイルスワクチンに比べ、接種後の時間経過とともに有効率が低下しやすいとも指摘されているため、どうなるか?この点も注目です。
いずれにせよ決定打になりそうなのはがん治療ワクチンのほうでしょうか?そうなるとコロナワクチンが市場に出るまでのモデルナ社同様の臥薪嘗胆の時期が再来するかもしれません。
あと今回の記事で面白かったのは長山社長の前職エーザイとの違い。実はモデルナ日本法人の前社長の鈴木蘭美さんもエーザイ出身なんですよね。
私自身としては今回の記事で長山社長はエーザイとの違いをかなり抑え気味に話していると思っています。