FRB、ディスインフレ確信も「予想より時間かかる」=議事要旨
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今回の議事要旨は、全体としてみれば、FOMC直後のパウエル議長による会見の内容と整合的であり、その意味で市場のサプライズはないように思います。
その上で、いくつか注目すべき点を挙げると、第一にインフレの原因に関する焦点の変化が伺われます。つまり、従来は労働需給のタイトさによる賃金上昇を警戒していた訳ですが、今後のリスク要因としては国際商品価格の上昇と個人消費の底堅さ(総需要のタイトさ)が重要度を増しています。
第二に、金融引き締めの十分さに関して議論が分かれていたことも伺われます。消費がなかなか減速せず、ディスインフレに想定以上に時間を要している点を根拠に、引き締めが不十分との意見が見られた一方で、金利感応度の高い領域だけでなく、低所得層にも金利負担の効果が現れつつある点を根拠に、引き締め度合いは適切との見方も示されました。
この論点を別な角度から見ると、金融引締めの後期段階に固有の事象と理解することもできます。つまり、金融市場は先行きの利下げを織り込み始めてしまうので、イールドの形状が正常化していくとともに、資産価格が底打ちして上昇を始めることで、金融環境は政策変更より先に緩和し始める訳です。この点は、足元での米国の状況に整合的だと思います。「直近のインフレ率に失望感を示しながらもインフレ圧力の緩和に確信を持っていた」 (@@。
FOMCのメンバーがインフレ圧力の緩和に自信を失っているといった噂が拡がると、それこそインフレ期待が高止まりして大変なことになりかねませんから、そりゃそういうメッセージになるでしょう。2%が目標ですから「インフレ率が中期的に2%に回帰すると引き続き予想している」というのは当然として「ディスインフレには以前考えられていたよりも時間がかかりそう」、「金利引き上げの可能性についての議論があった」ということの方が気掛かりです。
最近の米国のインフレは人件費の影響が大きいサービス部門に比重が移っています。インフレ期待に火がついて物価と賃金の共振的な上昇が始まると、これを抑えるのはなかなかに難しい。FEDの難路が続きそう (・・;足元のエコノミックサプライズ指数は下がってきており、過去の経験則だと3週間ほど遅れて長期金利と相関が強いので、この経験則に基づけば6月以降は米長期金利に押し下げ圧力かかることになるんですけど、今回はちょっとわからないですね。