アングル:日銀、国債買い入れ減の裏に需給の変化 5―10年再減額は見合わせか
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- 1日銀は13日の5―10年の国債買い入れ額を4250億円とし、従来の4750億円から500億円引き下げた
- 2国債買い入れ減額の背景には市場動向と国債需給についての分析があった
- 3ゆうちょ銀行の国債買い入れが日銀の買い入れ減額の背中を押した可能性がある
コメント
注目のコメント
以前にも指摘したように、今回の国債買い入れの減額は、四半期ごとの買入方針で示されたレンジ内の調整であり、執行部に委ねられている裁量の範囲内です。
このため、記事が指摘するように、足元の国債需給の状況が主要な決定要素になるのは当然であり、オペの応札倍率や主要な投資家に対するヒアリングが主な手がかりとなります。
これを超えて国債買い入れを減額する場合には、政策運営の変更と位置づけ、金融政策決定会合で議論して決定し、その背景や趣旨をきちんと公表すべきであると思います。
実際、最近注目され始めた可能性は、後者のような政策変更としての国債買い入れの減額ですが、その適否を評価する以前の問題として、注意すべき点があります。
国債買い入れの減額はフローの問題であり、以前はテーパリングと呼ばれていました。より本質的な意味で長期金利に影響しうるのは、国債の保有残高を相応に減少させた場合、つまり量的引き締めであり、日銀が主張するストック効果の議論とも整合的です。
その上で、日銀の国債買い入れの場合にはフローとストックがより密接に関連している点に注意する必要があります。
日銀はかつての米欧と違って、保有国債の償還に対する再投資をコミットしていません。このため、フローの買い入れ額を減らしていくと、どこかで償還額を下回り、結果としてストックの保有残高を減らし始めることになります。つまり、量的引き締めがなし崩し的に実現しうる訳です。
これらの点を考慮すると、私は、日銀がフローの買い入れ方針だけでなく、保有国債の償還見通しも合わせて公表すべきだと思います。財務省による国債管理政策のために毎月の償還額には大きな振れがあり、3ヶ月毎にピークが来るのは事実ですが、それならば、償還額の見通しも四半期の累計ベースで公表すれば良いと思います。