(ブルームバーグ): 長期金利が11年ぶりの高水準を付けた。日本銀行による国債買い入れオペの減額拡大や早期の追加利上げへの警戒感から売りが優勢だ。米国長期金利の上昇も売りにつながっている。

20日の債券市場で長期金利の指標となる新発10年債利回りは0.975%に上昇した。日銀がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正を決めた翌日の2023年11月1日に付けた0.97%を超え、13年5月以来の水準に達した。

これで、日銀がマイナス金利政策とYCCの解除を決めた3月の金融政策決定会合後に新発2年、5年、10年、20年、30年、40年物の国債利回りがそろって10年超の高水準を付けたことになる。これまで低金利による運用難から米国や欧州などの外国債券に投資していた国内機関投資家にとって円債の相対的に魅力は増す。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米金利高を受けたこともあるが日銀利上げやオペ減額観測を背景にした売りが継続し、日銀が21日に第2回ワークショップを開催することもあって様子見で買いが入らず、水準を切り上げたと指摘。「1%近くの水準では買いが入るとみているが、米金利動向など不透明感も強く、長いゾーンは売られやすい状況が続きそうだ」と述べた。

日銀は13日に実施した定例の国債買い入れオペで、残存期間5年超10年以下の国債買い入れ額を前回から500億円減らした。これを受けて6月の決定会合で明確な買い入れ減額が決定されるとの観測が高まっている。17日のオペでは買い入れ額を維持していた。

4月25、26日開催の決定会合の主な意見では「国債買い入れの減額も市場動向や国債需給を見ながら機を捉えて進めていくことが大切」といった指摘があった。減額により、市場では長期金利は1%に上昇するとの見方が出ている。

米資産運用大手フランクリン・テンプルトン傘下のウエスタン・アセット・マネジメントの木村浩幸日本拠点投資運用部長は、長期金利について、日銀の緩やかな利上げに沿って金利は上がるが、10年債利回りが1%を大きく超えることはないと予想する。すでに2%に達している30年債利回りの上昇余地はさらに小さく、10-30年利回りで「だいたい10ー20bpくらいフラットニング(平たん化)するイメージだ」と語った。

長期-超長期ゾーン平たん化を予想、日銀購入減で-米ウエスタンAM

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--取材協力:酒井大輔.

(末尾に市場参加者コメントを追加して更新します)

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