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コンテナ運賃、想定外の急騰。年初来高値、長期化は懐疑的
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
コンテナ運賃が直近で上昇を続けており,年初来の最高値を更新しているとの記事です.この動きは海運会社にとっても想定外なうえ,欧米だけではなく,アジアからの運賃が上昇する展開となっています.とくにアジア・南米間の運賃上昇幅は大きくなっています.
この記事,コメントをしているのですが,背景には以下の点があることを指摘できます.
1. 北米において経済が堅調であり輸入者が在庫補充に転じたことに加え,
2. 北米でも欧州でも紅海情勢を受けたリードタイムの伸びや物流停滞のリスクを懸念した安全在庫水準を高める動きが荷主の需要を強めている
3. インバランスの拡大や各地港湾での混雑がサービスの供給をするうえで制約となり,新造船の供給も追加的な船腹需要を下回っている
ただし,欧州では需要が基礎的な経済状況とリンクしていないとの話もあります.
(在庫水準も高いですし,小売りも盛り上がってません)
そのため,いくつかの海運会社はこの状況が長続きするかどうかについて懐疑的な見方をしています.
今のところ,モノの輸送が遅れるとか,物価に影響するなどの話は出ていませんが,来週以降の展開も注目する必要があると思っています.
世界の街のつくり方 vol.3:パナマで雨が降らないと日本の物価が上がる?運河利用大国・日本!
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
パナマ運河は閘門を開閉する際に,運河の途中にあるガトゥン湖の水を多く消費することが知られています.気候変動以外にも以下の構造的な要因が指摘されています.
1. パナマの人口増で水道水として利用される量が増えている
2. 開発が進んで林の保水量が落ちている
このような状況がある中で降水量が減少し,喫水制限に至ったわけです.(喫水制限自体は過去に何度も行われています)
昨年実施された喫水制限は緩和傾向にあるわけですが,上記のような要因があるため,今後も心配しなければならない状況にあります.
https://newspicks.com/news/9994989/
もご覧ください,
中国の輸出回復は本物か、この明るい話題は長期的な解決策にはならない
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
このところ,コンテナ輸送でも貨物輸送の回復が話題になっており,船舶の供給が増えているにもかかわらずそれを上回る勢いです.アジアから米国へのコンテナ輸送量は1-4月累計では17.5%増ですし,欧州向けは1-2月累計で11.5%,アジア域内では9.6%増となっています.こういったことも中国の荷物が増えていることがわかります.
一方で,需要側を見ると米国では小売りの状況が良く,大手荷主を中心に在庫補充が始まっているとの指摘があります.これに加えて輸入者が北米東岸の労使交渉の動向,カナダ鉄道のスト懸念などのリスクを念頭に置いて,仕入れを早めに行っているとの指摘がなされています.
一方で,欧州ではそこまで経済状況が良くないため,経済状況とリンクしない荷動きの増加が続いているとみられています.迂回によってリードタイムが長くなっていることや,紅海情勢に関するリスク回避の度が強いということなのか.
こういった背景があることをとりあえず情報提供的に示しておきます.もう少し詳しいことがわかったらまたNPでコメントいたします.
乾くパナマ運河 海運停滞の波紋(上)水不足深刻、続く通航制限 最大4割減、待ちや迂回 輸送日数増え運賃高騰 - 日本経済新聞
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
パナマ運河の通航制限とその背景,影響に関するまとめ記事です.
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80661520U4A510C2QM8000/
と合わせた二回分あります.
パナマ運河は閘門を開閉する際に,運河の途中にあるガトゥン湖の水を多く消費することが知られています.気候変動以外にも運河の水不足は気候変動だけではない以下の構造的な要因が指摘されています.
1. パナマの人口増で水道水として利用される量が増えている
2. 開発が進んで林の保水量が落ちている
このような状況がある中で降水量が減少し,喫水制限に至ったわけです.(喫水制限自体は過去に何度も行われています)
昨年実施された喫水制限は緩和傾向にあるわけですが,上記のような要因があるため,今後も心配しなければならない状況にあります.
ちなみに,記事内にある赤倉先生の試算は来週に北大で開催される土木計画学研究発表会で発表されるのではないかと思います.
https://jsce-ip.org/2023/12/01/ip69/
アジア欧州間コンテナ船輸送が最大20%減も、紅海・スエズ運河迂回で
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
紅海情勢について,しばらく続くのではないかとする見込みを示した記事です.4月末の時点でフーシ派に攻撃された船の数は70隻に達しています.攻撃を受けるエリアも拡大しており,アラビア海沖でMSCのコンテナ船が攻撃を受ける事態にもなっています.
そのような中,マースクが欧州航路(アジア⇔欧州・地中海)のコンテナ船の輸送能力について,喜望峰への迂回による影響によって業界全体で15~20%のロスが発生するとの推計を発表しています.
https://www.maersk.com/news/articles/2023/12/15/maersk-operations-through-red-sea-gulf-of-aden
現在,コンテナ輸送はにわかに荷動きが増えており,その影響を受けて市況が上昇しております.ただ,これは紅海の情勢を受けた迂回によって供給が絞られていることから,リードタイム増加に備えるための在庫確保の動きではないかと見られています.
フランスの物流会社グループが高知新港への寄港を休止 撤退を決める【高知】(RKC高知放送)
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
昨年の7月にフランスのCMA CGMグループのCNCが高知県側の誘致を受けて高知新港と釜山港を結ぶ定期航路を開設しました.しかし,CMA CGM側が求める荷物量の半分程度で推移して補助金も打ち切られており,5月に撤退が決まりました.
それにしても,安定した貨物がないと判断した際の外資系の動きは速いと改めて感じました.
日本には60港近くのコンテナ港湾があり,地方港で寄港誘致が盛んにおこなわれています.地方港側は安定した寄港が重要である一方,海運会社側には寄港地選択の柔軟性が必要です.
地方側は相手を拘束することは難しいという認識のもと,自分の地域を発着する貨物を増やしていくことが重要なのだと考えています.
NORMAL
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