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宗教とグローバル社会

宗教とグローバル社会

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17本の記事
科学技術や経済がこれほど発展したグローバル社会において逆説的にその影響力を強める宗教。なぜ今世界は宗教に翻弄されるのか?
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加藤 喜之
立教大学 文学部教授
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科学技術や経済がこれほど発展したグローバル社会において逆説的にその影響力を強める宗教。なぜ今世界は宗教に翻弄されるのか?
ポーランドの夜明け?カトリック教会と非自由主義的勢力との終わりなき戦い
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今回の記事の背景:ポーランドでは昨年10月15日に行われた選挙で8年ぶりに政権交代が起きました。勝利したのはリベラルで欧州連合寄りのドナルド・トゥスク。彼は選挙直後に、2015年以降、極右「法と正義」党の自由主義を否定する強権的な政策によって腐敗してしまったポーランドの政治体制を一新しようと努めます。それに対し、「法と正義」党は徹底的に争います。なかでも現大統領アンジェイ・ドゥダは「法と正義」党ととても近く、トゥスクの試みをいくどとなく邪魔しようとします。果たしてポーランドの政治は今後どのようになっていくのでしょうか?今回の記事ではこうした政治的な争いの背後にある宗教的な要素に着目しつつ、ポーランドの今後を考えていきたいと思います。
とっても不思議な一神教:現代的な神学・政治論のすゝめ
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一般的な日本人、あるいは日本に長く住んだ人間が慣れ親しんだ考え方からすると、現在、パレスチナで起きていることを土地や大国の利権にまつわる争い以上のものとして理解することはすこぶる難しいのではないだろうか?もちろん、パレスチナの戦争には多くの利権が絡んでいるし、金銭的な問題も少なくはない。だが、すべてをそうした経済的な点に還元してしまうと、問題の核心を捉え損ねるだろう。というのも、彼らの問題の核心にはイデオロギー、すなわち宗教があり、利権や金銭の問題がすべて宗教によって規定されているとは言えないまでも、それらが宗教以上の価値を持つことはないからである。こうした宗教についての捉え方が、日本とはあまりにも異なっていることが、この問題についての理解を困難にさせている原因だといえるかもしれない。さらに言えば、ユダヤ教とイスラム教、さらには前回の記事で扱った福音派キリスト教のもつ「一神教」的な価値観が、日本人の感覚からするととても異質なものに映り、そのため私たちの理解を大きく超えてしまうのだ。そこで、今回の「宗教とグローバル社会」では、この「一神教」的な考え方について日本的な価値観と比較しつつ、とくに「死後」「聖典」「共同体」という三つのキーワードから理解を深めていきたい。
悲しみを悼みに、怒りを言葉に:ハマスによるイスラエル襲撃を受けて
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10月7日早朝のハマスによるイスラエルの襲撃は、世界中の人々に言葉を失わせた。一日で1400人以上の人間が殺されたのだ。ハマスの残虐非道さは目に余る。武装した兵士たちが家屋に侵入し、大人たちを銃撃し、女性をレイプし、子供たちを拷問する。血塗られた子供部屋の映像が脳裏に焼き付いている。音楽フェスティバルでも人々は銃殺され、拷問され、レイプされる。ニュースのみならずSNSなどで拡散された動画は世界を震撼させ、なによりもイスラエルの人々を恐怖に陥れた。その恐怖と同時に、いいようのない怒りが彼らの心の奥底から浮かび上がってきたのを我々は連日目撃している。 この恐れ、悲しみや侮蔑、吐き気をもよおすような怒りがイスラエルの人々を即座に報復に突き動かしたのは人間として共感できるし、理解できる。ハマスの行為はイスラエルのみならず、人間そのものへの冒涜であり、誰がなんと言おうと、また、どのような歴史的な状況を鑑みたとしても、ゆるされるべきものではない。しかし同時に、イスラエルの人々、そして世界の人々がまたたくまにイスラエルと連帯を表し、イスラエルのとるすべての行為を追認してよいかというとそこには大きな疑問が起こる。ハマスを一掃するという目的のもと、イスラエル国防軍によるガザの空爆が始まり、すでに10月19日の時点で3,785名ものパレスチナ人が殺され、そのうちの1,524人は子供だといわれているいま、その疑念は大きくなるばかりだ。今回の襲撃がもたらした恐れや悲しみや怒りを忘れることなく、疑念を言葉にしていく。イスラエルから遠く離れた土地にいる我々ができることはまずそれではないだろうか?
キリスト教的なアイデンティティとライシテ:現代フランスにおける極右政党の試み
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ハマスの大規模攻撃によって激化したイスラエルとパレスチナの対立をうけて、フランスの極右政党「国民連合」(Rassemblement National)の党首マリーヌ・ル・ペンは、10月7日の午前中に次の文章を “X” (旧Twitter)上に公開した。 テロリズムは許されず、イスラエル国民の安全は守られなければなりません。ハマスというテロリスト集団によるイスラエル領土への攻撃は、平和への希望を日々遠ざけていく、容認できない戦争行為であります。この困難な時代に、私たちはこれまで以上にイスラエルの民主主義に寄り添います。 ここに表明されるル・ペンの立場は、フランスの他党のリーダーや、ヨーロッパ諸国の政治家たちの意見とそれほど異なっているわけではない。イスラエルとパレスチナ双方の暴力を諌めた極左政党「不服従のフランス」(La France insoumise)党首ジャン=リュック・メランションをのぞいては、皆往々にイスラエルとの連帯を表明している。ベルリンのブランデンブルク門はイスラエルの国旗と白と青で灯され、欧州議会にもイスラエルの国旗が掲げられた。エッフェル塔はハマスの犠牲者への鎮魂を示すためにしばし消灯した。9日にはドイツの例にならうように、塔はイスラエルのシンボルであるダビデの星で飾られることになる。
アメリカの宗教離れが止まらない!?:増える無宗教者("Nones")と分断される社会
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アメリカは宗教国家である。このことが疑われることはこれまでなかった。薄暗い礼拝堂でドラムが響き渡るなか、手を天に掲げ、目を瞑り、熱心に讃美歌を歌う人々。大統領は宣誓式で聖書に手を置き、街では中絶を神に対する冒涜だとしてデモに繰り出す。こうしたイメージは、他の先進国に比べていまだ宗教的なアメリカの姿を強く印象づけてきたように思われる。ヨーロッパではキリスト教の礼拝にほとんど人が集まらず、そればかりかロンドンのメイフェアにある聖マルコ教会のように、オシャレなフードコートに華々しい(!?)変身を遂げた教会もあるほどである。 そのような宗教国家アメリカにいま激震が走っている。みずからをキリスト教徒とみなすひとが人口の九割を超えていた時代は過ぎ去り、1972年にはわずか5%だった「宗教的な所属をもたない」("religiously unaffiliated”)あるいは「無宗教」("nones”)を世論調査の質問表で選択するひとがいまでは人口の30%を占めるほどになっているという。対照的にキリスト教徒と自認するひとは人口の60%まで低下した。現代のアメリカ社会にいったいなにが起きているのだろうか?

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