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グローバル金融羅針盤

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定期的にグローバル金融の動きをお届けし、日本経済の未来を考えるためのヒントをお届けできればと思っています

投資家金融

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公募投信による非上場株への投資について

全体に公開・2024/02/17

(トップ画像出典：Getty Images) 公募投資信託に非上場株を組み入れて、日本のスタートアップにより多くのリスクマネーを供給する取り組みが報じられています。非上場株投信、日本でも可能に　新興は資金調達しやすく 2024年2月14日、日本経済新聞公募投信による非上場株投資公募投資信託に非上場株を組み入れるというのは、普段はベンチャーキャピタルが運用する私募ファンドに出資できない個人投資家の小口のお金をベンチャーにも入れていくという意味で意義があると思います。ベンチャー企業など非上場会社に投資する場合、そうした非上場株は売買が自由に行われませんし、基本的には最終的な上場やM&Aによる会社売却などのEXITイベントが起こるまで持ち続けることになります。

吉本興業は第二のジャニーズになってしまうのか？

全体に公開・2024/01/11

（タイトル写真：Getty Images）松本人志氏の性接待疑惑の件で、吉本興業自体についても、ジャニーズのようにそもそも社会的に問題のある行動をとっている芸人を擁護するようなコンプラ体制の会社である吉本のタレントは起用すべきでないという動きが広がるのかどうか？と思ってみてます。合意があったかどうかを焦点にしているようですが、そもそも後輩芸人に福岡や東京で芸能界にあこがれを抱く若い女性をナンパさせ、ホテルのスイートルームに連れてきて、合意があったとしてもそのような行動を常習的に行っているというのは、女性差別、権力・権威を振りかざして弱者を食い物にしているという構図のように見えるのは確かです。そのような行動を常習的にとっているとしても、それの何が問題なんだとタレント本人も主張し、また吉本も何ら問題が無いと主張しているのは異常な状態に見えます。

日本の大学基金の運用本格化

全体に公開・2023/12/26

（タイトル写真：Getty Images）日経新聞に日本の大学基金もリスク資産への投資を拡大していることが報じられています。大学基金、リスク資産運用に挑む　東京大学は280億円 2023年12月24日ヘッジファンド、プライベートエクイティファンド、クレジットファンド、不動産ファンド、プライベートデット、ベンチャーキャピタルファンド、インフラファンドなどといった投資ファンドはオルタナティブ資産と呼ばれますが、こうしたアセットクラスへの投資を日本の大学もようやく本格化してきているとのことです。こうしたオルタナティブ資産への投資を行うためにはきちんとした運用体制を整える必要もありますが、プロの運用者を採用して体制を整えてきている大学も出てきているのは注目に値します。

ジャニーズ事務所が上場会社だったらどうなっていたか？

全体に公開・2023/09/21

(トップ画像出典：Getty Images) しばらく投稿が間が空いてしまってすいません。改めてNewspicks TOPICS投稿再開したいと思います。さて、ジャニーズ事務所の性加害問題が世間を騒がせていますが、創業者の性犯罪を認めた後の会社の対応は、頭を低くしていればそのうち嵐は過ぎ去ってくれると思っているといった感じにしか見えません。稀代の性犯罪者だったジャニー氏はもういないんだからいいじゃないかと思っている様子すら感じられます。性加害を行っていた張本人の創業者ジャニー氏及びそれを黙認していたメリー氏はひどいけれども、所属しているタレントには非はないし、タレントを使い続ける価値はあるんだから、ジャニーズ事務所と取引関係を完全に断絶しなくてもいいじゃないかという意見がある一方、多くの会社、特に上場会社、ではジャニーズ事務所のタレント起用を取りやめる動きが広がっています。

日本における不都合なスタートアップEXITの実態（２）

有料購読者限定・2023/05/11

公取委、みずほ証券を「注意」　IPOで一方的値決めか 2023年4月13日、日本経済新聞このニュース記事を見て多くの人はみずほ証券ってひどいなと思ったかと思います。しかし、業界関係者の意見は違ったはずです。 IPOの大幅ディスカウントは当たり前証券業界においては、日系証券会社各社はどこも「これはうちもだよ。こんなこと公取に言われてもどうしようもないよ」と思ったはずです。 IPOにおいて公正な価格よりも大幅にディスカウントする慣行は長年日本で続いている慣行なのです。以下は、岸田政権肝いりで行っている新しい資本主義実現会議の第５回（2022年4月12日）の内閣官房新しい資本主義実現本部事務局が用意した資料のスライドの１枚です。

日本における不都合なスタートアップEXITの実態（１）

全体に公開・2023/05/04

日本では小型のIPO（Initial Public Offering。新規株式公開・上場）が多く、時価総額が100億円以下、あるいは50億円以下であってもIPOするのは当たり前のマーケットとなっています。想定時価総額が小さいので、当然ながらIPO時における新株発行による資金調達額も小ぶりとなってしまいます。 IPO調達額が小型化　平均10億円割れ、10年ぶり 2023年4月1日、日経新聞外資金融にいて海外の同僚と話す際に、日本では想定時価総額200－300億円ぐらいになるようであれば余裕でIPOできる、なんだったら想定時価総額50億円以下だって上場できるんだよという話をすると、皆一様にものすごく驚きます。

日本の産業成長に何が必要か？

全体に公開・2023/03/22

このお題目について以下のことを申し上げたいと思います。本気で次世代の経営を任せられるCEOを選んでください年功序列制度は崩壊しているという前提で働いてください自分自身でスキルセットの形成に努めてください現状維持の殻を打ち破り、大胆な戦略に打って出ることが重要日本企業の株価が上がることがその企業の成長も後押しするし、日本経済の安定にもつながります日本企業も日本経済も９０年代以降ずっと成長していません。グローバル競争力がどんどん落ちていっていることは、皆さん身に染みてわかっていると思います。それでも変わろうとしない、変わらないといけないという危機感が無いことが懸念です。名目GDPで見ても、日本はバブル崩壊後横這いである一方、アメリカと中国は成長続けています。

K-POPと韓国のエンゲージメント投資事情

全体に公開・2023/03/20

ここ数年、お隣の韓国でもアクティビスト・エンゲージメント投資の事例がいくつかでてきています。韓国は財閥系の会社が多く、そもそも創業家の利益が優先されて少数株主の権利がなかなか守られにくい、そして少数株主が声を上げても無視されるという株主構成があるので、エンゲージメント投資はやりにくいと言われてきました。過去の有名な韓国での動きと言えばサムスングループ韓国におけるアクティビストファンドの動きで有名なのは、グローバル大手ヘッジファンドのエリオットが2015年にサムスングループにしかけたキャンペーンでしょうか。韓国サムスン、後継者の基盤強化中核2社合併で 2015年5月26日、Wall Street Journal

ゆうちょ銀行の売出しについて、投資家から見た視点

全体に公開・2023/03/14

ゆうちょ銀行が日本郵政による株式の大規模売出しを発表しましたが、この案件に関連してコメントを求められたものが一言日経新聞の記事に掲載されています。ゆうちょ銀株売り出し1131円、総額1.2兆円　歴代5位規模日本経済新聞、2023年3月13日 Japan Post Bank's new stock offering valued at over $9bn Nikkei Asia, March 14, 2023 改めてゆうちょ銀行についての私の見立てを書いておきたいと思います。ゆうちょ銀行は日本最大の銀行であるが。。。ゆうちょ銀行は預貯金額でみると、日本の銀行部門の全体の2割のシェアを持つ本邦最大の銀行です。但し、元々郵便局であった時代から民業圧迫してはいけないと言われていた名残で貸出しは未だ厳しく制限されており、自由に企業に貸し出すことができないでいます。貯金残高195.2兆円に対して貸出しはわずか5.3兆円（2022年12月末）。預貸比率でいうと2.7%です。

ベンチャー企業の成長には大企業の衰退がセットであると自覚しなければいけない

全体に公開・2023/02/24

こんにちは。今日は以下の東大の渡辺正峰准教授の記事に触発され、ベンチャー企業がなぜ日本では大きく育たないのかについて取り上げてみたいと思います。ベンチャーを大きく作る仕組みをつくらないと日本はマジつぶれる 2023年2月19日、週刊現代事実として、日本は過去30年間時価総額ランキング上位企業の名前はほとんど変わっていない一方、アメリカの時価総額ランキング上位企業はガラッと変わりました。ちなみに現在の米国時価総額ランキングトップ５はApple, Microsoft, Amazon.com, Tesla, Alphabet (Google)です。一方日本はトヨタ、NTT、ソニー、キーエンス、三菱UFJです。

ユーザベースの非公開化について：金融のプロの視点②

全体に公開・2023/02/01

随分時間が空いてしましたが、Uzabaseの非公開化案件の金融のプロの視点からの分析第二弾を投稿したいと思います。様々な方々から「これはPE投資なのかVC投資なのか？」「バリュエーションは安いのか高いのか？」「どうやってカーライルはリターンを出すのか？」など質問を頂きました。それらにもお答えする形で書いてみました。まず、100％バイアウト案件で投資ファンドがリターンを出すためには一般的に3つの方法があります。（１）負債を返済する（２）キャッシュフローを増やす（３）マルチプルエクスパンションです。本件はLBOではない。公開買付届出書の「買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等」を見ると、カーライルは今回の買収には銀行借り入れは三菱UFJ銀行から70億円のローンを借りただけで、残り560億円をカーライルのファンドからエクイティ投資を行う旨記載されています。

年功序列賃金の崩壊

全体に公開・2023/01/02

明けましておめでとうございます！本年も宜しくお願いします。皆様にとって素晴らしい一年になりますように。さて、年始の日経新聞にジョブ型を導入する企業が増えてきているという記事が出ていました。日立、全グループ37万人ジョブ型に　海外人材抜てき日本経済新聞、2023年1月1日日本型経営システムの特徴として年功序列、終身雇用、メインバンクシステム、ケイレツ・株式持合いなどがありますが、高度経済成長下において有効に機能していたシステムであるものの、成長が無くなって久しい日本では、日本型経営システムはむしろ弊害の方が多く指摘されています。経済学的に非効率だと分かっていても変えられないで続いているいわゆる「慣性（economic inertia）」にあると考えられます。日本企業がなかなか変革できない理由がこの日本型経営システムの「慣性」にあると思っています。

日銀の実質利上げ、緩やかな量的緩和の縮小

全体に公開・2022/12/21

日銀が長期金利の上限を0.5%にしたという報道がされています。これはどういうことなのかを整理したいと思います。日銀の金融緩和修正、苦渋のサプライズ　市場は波乱含み 2022年12月20日まず、これは実質的な利上げの効果がありますが、利上げをしたのではなく、日銀が国債を買う際に、10年物国債（満期が10年間の国債）を従来は利回りが0.25%になる価格を指値で入れて購入していたところを、0.5%になるような価格で今後は指値を行い購入するということです。つまり、市場の需給に任せていたならば国債価格はもっと高くなってしまうところ（利回りももっと高くなる）、日銀は国債をあえて安い価格で（実質的な利回りは低く）これまでは大量に買い続けてきたということです。実際2日前には、日銀による国債保有割合が時価で5割を超えたというニュースがあり、また、新発国債の全額を日銀が即日購入した（つまり市場参加者でその価格・利回りで買いたいと思う人は一人もいなかったということ）というニュースが出ていたばかりでした。

ユーザベースの非公開化について：金融のプロの視点①

全体に公開・2022/12/15

カーライルによるユーザベースのTOBが進行中ですが、事業環境や見通しの見立てについての話は他の方々も書いているので、金融のプロはどのように見ているのかという視点から書いてみたいと思います。バイアウトであってMBOではないカーライルというPEファンドがTOBを発表して、取締役会がTOBに対して賛同表明・応募推奨を出していて、TOB完了後も引き続き現経営陣が経営を行っていくということになっているわけですから、この案件ってマネジメントバイアウト（MBO)なんじゃないの？と思う人も多くいることと思います。公開買付届出書を読むと、カーライルが指名する取締役を１～４名就任させることを考えているものの、ユーザベースの役員を含む現状の経営体制を維持する方針であり、TOB後も引き続き職務を執行していただくことを予定している、と非公開化後も経営陣は続投すると書かれています。

超富裕層への増税は意味があるのか？

全体に公開・2022/12/14

所得30億円超の課税強化、政府・与党　25年にも日経新聞、2022年12月14日こんなニュースが出てきました。全国に200-300人しかいない年間所得30億円の超富裕層を対象にする増税なんて打ち出しても、そんなに所得のある人は簡単に日本から出れるし、30億円ちょい下になるように調整することもできるでしょうから、実際には意味がないでしょうね。意味ないの分かってるけど、金融所得税は公約してたのだからやった成果づくりにしたいんでしょうね。また、これだけの年間所得のある人々は、往々にしてスタートアップ経営者で上場時に大金を手にしたようなワンタイムの所得でしかない人も多いでしょう。政府はスタートアップ支援を押し出しているのであれば、創業した会社の上場や売却によりジャパニーズドリームを実現した人に対して高額納税を要求することにもなりかねず、スタートアップ支援の熱を冷ますことになりかねないと懸念します。

所得倍増計画の変遷

全体に公開・2022/12/12

当初岸田さんは令和版所得倍増計画を自民党総裁選の公約として打ち出し、首相就任後、倍増は方向性を示しただけで数値目標ではないなどと言ってトーンダウンさせ、民間企業に賃金を増やしてもらうべく頑張ってもらうんだと新しい資本主義とセットであると主張。国民の多くは平均賃金433万円が866万円になるのが所得倍増計画であると考えていたと思うものの、さらにその後所得倍増計画の前に「資産」とつけて、資産所得倍増計画という全く別物にすり替えています。賃金が倍になるのであれば、それは毎年の賃金が今後ずっと倍であり続けるということですから、平均的な国民は毎年433万円も所得が増えた状態が続くことを意味します。一方、資産所得が倍になると言っても、平均賃金433万円の方が一年間で投資に使える資金は現在のNISAの上限120万円すら無い可能性が高く、ましてや投資した120万円が倍になったとしても240万円です。

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