(ブルームバーグ): ソニーグループは14日、今期(2025年3月期)の営業利益計画が前期比5.5%増の1兆2750億円になると発表した。ブルームバーグが集計したアナリスト21人の予想平均1兆3260億円を下回った。金融事業で減益を見込むものの、半導体事業で大幅増益、ゲームや音楽事業も増益を見込む。
このほか、同社は投資家層の拡大を目的として、1株を5株に分割することも発表した。効力発生日は10月1日としている。発行済み株式総数の上限2.46%、2500億円を上限に自己株式を取得すると発表した。取得期間は15日から25年5月14日。
今期の業績予想
- 売上高:前期比5.5%減の12兆3100億円-市場予想12兆5528億円
- 営業利益::前期比5.5%増の1兆2750億円-市場予想1兆3260億円
- 純利益:前期比4.7%減の9250億円-市場予想9987億円
発表資料によると、半導体事業ではスマートフォン向けの画像センサーが好調に推移するほか、新製品の量産立ち上げにかかる費用も前期に比べ半減し、大幅増益となる見通し。
主力事業の一つであるゲーム事業では、発売4年目に入った家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の販売は今期1800万台程度を見込む。前期(2080万台)に比べ減るものの、自社制作以外のソフトの販売増加を見込む。
同事業では体制変更を進める。ゲーム子会社、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のCEOに西野秀明氏とハーマン・ハルスト氏が就くと同日朝発表しており、新体制の下で同事業の持続的な成長を目指す。同日会見したソニーGの松岡直美執行役員は同事業について、27年3月期までに過去最高益を更新する計画だと表明した。
総還元性向40%
27年3月期を最終年度とする中期経営計画では、金融事業を除く営業利益の年平均成長率について10%以上を目指すとしたほか、戦略投資として前中計を上回る1.8兆円の枠を設けた。また最終年度に総還元性向40%程度を目標とすると、十時裕樹社長が明かした。
今期の想定為替レートは1ドル=145円前後、1ユーロ=157円前後とする。
映画事業では、米映画・テレビ大手のパラマウント・グローバルに対し、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントと組んで買収提案したと報じられた。十時社長は個別のディールについてのコメントは控えたいとしたうえで、優良な機会があれば、「適正な価値と投資リターンが期待できることを前提に検討するのは自然な行為」とコメントした。
ソニーGはゲーム、音楽、映画といったエンターテインメント関連からスマートフォン向け画像センサーを含む半導体、テレビやデジタルカメラなど多様な事業を抱える。
今期の事業別の営業利益見通し
- ゲーム:3100億円(前期実績は2902億円)
- 音楽:3150億円(前期実績は3017億円)
- 映画:1200億円(前期実績は1177億円)
- ET&S:1900億円(前期実績は1874億円)
- 半導体:2700億円(前期実績は1935億円)
- 金融:1450億円(前期実績は1736億円)
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