(ブルームバーグ): ソフトバンクグループは13日、2024年3月期の連結業績を発表し、第4四半期(1-3月期)では純損益が2311億円と、2四半期連続の黒字となった。一方、ファンド事業は四半期ベースで再び赤字となるなど不安要素もある。

同四半期は、傘下のソフトバンク事業が好調なほか、資産運用子会社のSBノーススターで過去4四半期で初めて実現益が出るなど、持株会社投資事業からの投資損益が黒字になった。

ビジョン・ファンド(SVF)では、同社と孫社長の自己資金で投資する2号ファンドで、出資先企業の価値が目減りしたことなどから赤字となった。こうしたことを背景に、直近のセグメント利益は967億円の赤字となり、再び四半期で損失を出すなど不安定な収益環境が続いている。

後藤芳光CFO(最高財務責任者)は同日の会見で、SVFについて「赤字は残念。足踏みしている状況、結果を早く出したい」と述べた。

通期は3期連続赤字

一方、通期の純損益は3期連続の赤字となった。発表資料によると、純損益は2276億円の赤字(アナリスト予想平均は2831億円の赤字)と、前の期の9701億円の赤字からは改善した。SVF事業全体のセグメント利益は1282億円の黒字、4兆円超の赤字から黒字転換した。

岩井コスモ証券の川崎朝映シニアアナリストは、最終損益での赤字縮小など業績改善を確認できたことは「ポジティブ」とした。

孫正義社長が決算説明会を不在にしてから1年半、留守を預かったのは後藤CFOは「守りを固めることが重要」との姿勢を崩さなかったが、2月には「精力的に投資活動していく」と表明した。

新たな投資戦略に注目が集まっていたが、後藤CFOは前期に39億ドルの投資を実施、加えて50億ドル(7795億円)の新規投資のコミットメントを行ったと述べるにとどめた。 

同社はまた、5月に英国の人工知能(AI)スタートアップ、ウェイブ・テクノロジーズに投資、10億5000万ドル(約1600億円)の資金調達に参加した。英国の半導体スタートアップ、グラフコアの買収に向け交渉していることも明らかになっている。グラフコアは20年の資金調達時に28億ドル(約4350億円)の評価を受けた。

ブルームバーグは2月、孫氏がエヌビディアに対抗して人工知能(AI)に不可欠な半導体を供給するベンチャーを立ち上げ、最大1000億ドル(約15兆円)の資金捻出を検討していると報じた。

報道について、後藤CFOは憶測にはコメントしないと述べた。また、「さまざまなテーマは議論の途中のものばかり」で、財務規律を重視して運営する方針を改めて示した。

(更新前の記事で第2段落のアナリスト予想に関する表現を訂正しました)

--取材協力:横山桃花.

(会見の内容などを追加しました)

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