実質賃金減、過去最長に 24カ月連続、リーマン期超え
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昨年度は30年ぶりの賃上げが実現したにもかかわらず、実質賃金のマイナスが続いている背景には、春闘の賃上げ率がマクロの賃金に及ぼす影響がそこまで大きくないということでしょう。
実際、昨年の春闘賃上げ率は最終集計で3.6%でしたが、昨年の名目賃金は+1.2%しか上がってません。
また、賃上げにおいてはとってつけたように中小企業への波及が語られますが、よりカバレッジの広い昨年の賃金構造基本統計調査によれば、中小企業の所定内給与が+2%以上増えている一方で、大企業はむしろ▲0.7%減っています。
こうしたことから、今年の賃上げ率は5%を超えそうですが、実質賃金がプラスになるかは微妙だと思います。記事にあるように、今後の推移が重要ですね。賃上げはこれから反映される。物価は円安の影響は今後落ち着き、資源価格のさらなる上昇がなければ、企業によっては再び価格で勝負することや、消費の停滞でこれまでのようなペースでは上がり続けることが難しくなるかもしれない。それによって実質賃金にプラスとなることで消費も持ち直すことになれば好循環に向かう。
肝は消費が停滞し、価格競争に再び戻ってしまい、それが賃上げに影響すること。欧州のようにマクロが厳しくても賃上げと値上げが続くようにならないと、国際的な労働生産性の比較で置いてきぼりになってしまう。企業の賃金改定は高頻度でするものではないですし、今の商品・サービスの値上げ幅やペースにすぐに追い付かないのは当然と言えば当然です。今年の春闘の賃上げ分が4月以降少しずつ反映されてくるとは思いますが、値上げの動きがもう少し落ち着いてこないことには実質賃金が安定してプラスで推移する状態にはなりづらいように思います。