【北京時事】月の裏側で試料の採取を計画する中国の無人探査機「嫦娥6号」が3日、南部の海南島にある文昌発射場からロケットで打ち上げられた。約50日後に帰還する。地球との通信が難しい裏側でのサンプル採取は世界初となり、成功すれば習近平政権が目指す「宇宙強国」に大きく近づく。

 中国は2013年、旧ソ連、米国に続き世界で3番目に月面着陸を実現させた。19年に探査機を月の裏側に着陸させる難しいプロジェクトに世界で初めて成功し、20年には月の表側の土壌サンプル1.7キロを採取し地球に持ち帰った。

 月は常に同じ側を地球に向けているため、月の裏側に着陸する探査機と地球との交信には、中継する仕組みが必要。今年3月に通信衛星「鵲橋2号」を打ち上げ、地球と交信する準備が整った。

 国営中央テレビによると、嫦娥6号は月の裏側に位置する巨大クレーター「南極エイトケン盆地」に向かい、地形や地質を調査。フランス、イタリア、欧州宇宙機関(ESA)などの機器も積んでおり、中国には国際協力の姿勢をアピールする思惑もあるとみられる。 【時事通信社】

〔写真説明〕中国の無人月探査機「嫦娥6号」を搭載したロケット=3日、南部の海南島(EPA時事)

〔写真説明〕3日、中国南部の海南島で、月に向けて打ち上げられる無人探査機「嫦娥6号」を搭載したロケット(AFP時事)