(ブルームバーグ): 円相場が乱高下した29日の外国為替市場で日本の通貨当局が円買い介入を実施した可能性が高い。日本銀行が30日公表した5月1日の当座預金増減要因の予想値と市場の推計値との差が大きかったためだ。

為替取引の実際の決済は2営業日後に行われるため、介入が行われた場合、結果は1日の日銀当座預金残高の見通しに表れる。それによると、為替介入などが反映される財政等要因はマイナス7兆5600億円。東短リサーチによる先週の予想では、国債発行や税金の国庫納付でマイナス2兆1000億円程度、セントラル短資ではマイナス2兆500億円だった。差額の約5.5兆円が円買い介入の規模と推定される。

東短リサーチの高井雄一郎研究員は、29日は「5兆円程度の円買い介入が入っていたのではないか」と述べた。

円相場は29日、34年ぶりとなる1ドル=160円台に急落した後、一時154円台まで急反発した。介入観測が高まる中、日銀の日銀当座預金の予想値が市場の推計値と大きく乖離(かいり)していれば、介入実施の証左となり得るため同データに注目が集まっていた。政府は2022年9月と10月に3回にわたり総額9.2兆円の円買い介入を実施。うち過去最大の5.6兆円を投入した10月21日の介入と同規模とみられる。

日本の通貨当局が覆面介入を実施か、今夕の日銀当座預金予想で確認へ

三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは、今回の日銀データを見る限り「29日に円買い介入が行われていた可能性が高い」と指摘。「金額的にも5兆円程度というのはおおむね予想通りで、過度に介入余力の低下が懸念されるものではないため、円売り材料にもなりづらいだろう」との見方を示した。

神田真人財務官は、29日の外為市場で円相場が急変動したことに関して、投機による過度な変動で看過できないと述べる一方、為替介入の有無については「ノーコメント」と言及を避けていた。

4月26日-5月29日における為替介入の有無は財務省が5月31日に公表するの外国為替平衡操作の実施状況で明らかになる。4月29日の介入の有無は8月ごろ公表の日次ベースのデータで判明する。

関連記事

  • 円急反発、一時154円台-神田財務官は介入有無に言及せず
  • 日本当局の円買い介入、実施の有無を見分ける方法-QuickTake

--取材協力:酒井大輔、伊藤純夫.

(詳細を追加して更新します)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.