パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く
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- 1米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ統計が予想を上回ったことを受け、利下げ実施までの待ち時間が以前よりも長くなる可能性を示唆
- 2インフレについて、金融当局として利下げに先立ち必要な確信を得るにはより長い時間がかかる可能性が高いとの見解を示し、労働市場の強さとインフレ面での進展を考慮しながら適切な金融政策を採る必要があると述べた
- 3利下げの必要性が感じられないことや利下げがあっても比較的遅い時期となる可能性を示唆し、金利予測の変化や市場の動向に慎重な姿勢を示している
コメント
注目のコメント
背景には米国の中立金利が上昇したことがあると思います。
そもそも中立金利は理論的にはインフレ目標と潜在成長率の足し算となります。
そして、3月のFOMCでFRBが想定する中立金利が引きあがりました。
結果として、現状の政策金利と中立金利の差が縮まりましたので、これは利下げをしなくても金融引き締め効果が緩まったことを意味します。
となれれば、それだけインフレ抑制圧力が弱まるわけですから、仮に政策金利が不変と仮定すれば、インフレ目標に到達するまでには中立金利が上がる前より時間がかかることになると言えるでしょう。CMEの調査でも、今年中に利下げは無いと見る向きが14%に迫っています。あっても1回0.25%にとどまると見る向きも35%に迫り、両者合わせてほぼ半分。1か月前はそれぞれ1%強と9%、両者合わせて1割程度でしたから、市場の見方も急速に変化していることが分かります。
インフレ心理に一旦火がつくと、それを収めるのは容易なことではありません。1970年代から80年代始めにかけての米国のインフレに想いを馳せ、9%のインフレ率を3%に落とすより、3%を2%に落として安定させる方が遥かに難しい側面があるとインフレ率が3%に近づいた頃から繰り返し呟いて来ましたが、そうした傾向が今回もはっきり見えて来たようですね・・・
あの時はFEDが引き締めとインフレのストップ・アンド・ゴーを繰り返して対応が遅れ、大変なことになりました。1970年代の終わりから80年始めにかけて米国で暮らし、米国の強烈な利上げで世界が混乱に陥った時代を銀行の国際企画部門で過ごして後始末の大変さを見聞きした私には、利下げでインフレがぶり返すことを警戒する気持ちがなんとなくわかるような気がします。FRBの難しい舵取りが続きそう (・・;