(ブルームバーグ): 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは、グローバル市場での円債発行を計画している。
事情に詳しい関係者によると、バークシャーはSEC登録型の円建て固定利付きベンチマーク債の発行に向けて主幹事を指名した。市場環境次第で近日中の起債を検討しているという。
バークシャーは、3月に日本銀行が世界で最後のマイナス金利を解除した後、円債の最初の大手非金融海外債券発行体となる見通しだ。
日銀の植田和男総裁が利上げを急がないとの見方が広がる中、国内外発行体の円建て社債スプレッドは52ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、1年前の67bpから縮小し、2022年9月以来の低水準にある。
バークシャーは日本の5大商社の大株主。9日の東京株式市場では三井物産の株価が一時3.6%、三菱商事は同3.1%、住友商事は同2.8%それぞれ上昇して過去最高値を更新した。丸紅と伊藤忠商事の上昇率もTOPIXの1%を上回った。
大和証券の石戸谷厚子ストラテジストは「過去にバークシャーが円債を発行した際にも商社株に買いが入ったので、きょうも思惑があるのかなと思う」と語った。「割安株とか、ブランド力があるとか、金融関連も投資していると思うので可能性としては期待がある。日本株全体として注目が集まりやすい」と言う。バークシャーの投資は昨年の日本株高を後押しした。
バークシャーが前回円債を発行したのは昨年11月で、5本立て総額1220億円だった。バークシャーは定期的に円債を発行しており、4月にしばしば実施している。
野村証券の荻野和馬シニアクレジットアナリストは「バークシャーはこれまでも1000億円を超える大型発行をしており、幅広い投資家を引きつけている」と語った。
荻野氏は、日銀が政策修正を行った後の4月の国内新発債は発行額が大きくないが、規模が大きいため投資家が納得するスプレッド水準にならないと投資需要が1000億円規模では集まらないと指摘。そのような投資家の目線によってどの程度のスプレッドになるか試される案件になると話した。
バフェット氏は2月下旬に公表した投資家向け年次株主書簡で、保有する日本の総合商社の株主還元や役員報酬を巡る姿勢を称賛しており、同氏がこれら企業への出資比率を高めるのではないかという臆測を呼んでいる。バークシャーは現時点の日本株への投資資金の大半を円債で調達していると書簡には書かれている。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は、海外投資家が日本企業に投資するタイミングとしては良いと指摘する。過去数年のコーポレートガバナンス(企業統治)改革や東京証券取引所の資本市場へのメッセージの効果で「投資家と向き合う企業が増えており、そうした企業に投資するための資金を海外投資家が確保してることは理に適う」と述べた。
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--取材協力:Winnie Hsu.
(5、6段落に商社株に対するコメントと株価を追加します)
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